<椎茸作業・・・冬菌へ・・・>

ホダ場で大発生した秋子の一部です

<椎茸作業・・・冬菌へ・・・>


 夏菌は10月で終了した。11月からは冬菌の収穫に入る。冬菌を専門的に言うならば、菌興240号という品種である。他にも冬菌はいろいろあるし、メーカーによってもそれぞれ違う。


しかしながら、我が家は昭和34年の生椎茸栽培開始から、ずっと菌興を使用している。メーカーごとに微妙な相違があるが基本は同じといってよい。一つの品種をマスターしないで他のメーカーの冬菌に手を出してもうまくはいかない、というのが私の考えである。


 結論からいって、この240号は夏菌とは全然違い戸惑った。夏菌は25度から15度までが繁殖温度であるが、240号は20度から8度までがその範囲である。一番の違いは11月に入って秋子(ホダ場で秋になって自然発生するキノコ)が発生したことである


 240号は約4000本ある。私は「浸水発生」(水槽に一日程度浸水させてから、発生舎で加温して発生させる)を予定していた。それが11月に入って秋子が「大発生」したのである。これは全くの「想定外」であった


栽培マニュアルでは確かに秋子が発生するとある。「大発生」と言ったが、今年が初めてなのでどれくらい出れば「大発生」なのかは私では比較できない。親父に「これは大発生」と言われたのでそうかな、と思ったのである。


 これには困った。一日に40キロの収穫が一週間も続いた。今までは多くても20キロであった。この40キロを売りさばくのは簡単ではない。それに、ホダ場でのいわゆる露地なので水分を吸って、小売できないような椎茸も少なくない。


 結局、ほとんどは乾燥して「乾椎茸」となった。別に「乾椎茸」がいやなわけではないが、私は生椎茸にこだわりたいのである。何故、生椎茸にこだわるのか・・・いずれ、アップする機会はあるだろうが説明すれば長くなるので今回は省く。


 この240号にはいろいろな特徴がある。第一に、身が厚くて堅い。直売所で購入者にいろいろ訊ねられたり、感想を言われた。その中で、あなたの椎茸はダシが出る、と一番言われた。主婦の実感なんだろう、と思った。また、歯応えや食感は他の茸とは全く違う、と言われる。


私は実際に調理したことはない。他の原木椎茸や菌床椎茸と比較したりもしていない。だから、私はキョトンとしながら「ありがとうございます」と言うしかない。私はこの椎茸しか知らないのだから・・・。


 第二に色が黒褐色である。通常のこげ茶色の椎茸とは違う。黒っぽいのは消費者にとってはどうなのかはわからないが、存在感があるのではないかと思っている。水分が多くて黒っぽくなるという事情もあるが、黒っぽいことには変わりがない。


 しかし、この椎茸はいい椎茸である。品種的にいい椎茸である。パックに品種表示をしたいくらいである。