<椎茸作業・・・夏茸・・・>
<椎茸作業・・・夏茸・・・>
椎茸は夏はその収穫シーズンではない。自然の世界では春と秋である。しかし、それに逆らって夏も生椎茸を栽培し収穫する。
それは、自然の世界に反することだが、夏でも活発に活動する椎茸菌の培養技術がそれを可能にしたということだ。
われわれの業界ではそれを「高温菌」という。私の使用している菌興697号という品種もその一つで20度前後でも30度近くになっても活発に活動する。
土台、椎茸菌はカビの一種なので、カビが活性化する梅雨の状況を考えてみれば理解できると思う。しかし、生椎茸は生ものであり、今の時期は日持ちは最悪である。
そのため「商品」とするためには非常に難しい。要するに湿気を茸を湿気からいかに守るのか、という相矛盾した課題をクリアしなければならないのである。
どうして、そんな難しいことするのか・・・といわれそうだが、私の天邪鬼な性格からして人のやっていないことをやりたいのである。
所詮、資本主義というのは人がやっていないことをやってナンボの世界なのだから・・・とは言うものの周年栽培を親父の代からやってきて、ノウハウもありそれが自然となったというのがほんとのところである。また、それをしなければ「カマド」を持っていけないのである。
じゃ実際、どんなところが難しいのか。私は5月から収穫しようとして準備をした。ホダ場からハウスにホダ木を運んでそこで、温度を上げ20度から25度前後で一ヶ月近く管理する。それも適度な湿度を維持して。まずこれが難しい。
ハウスには遮光幕をかけてはいるが、お天道様の照り具合で、すぐに30度にはなる。温度が上がるとホダ木は乾く。水をかけて換気をしてとなるわけであるが、いちいち就いているわけにはいかない。
5月収穫だから、4月からその準備をしなければならない。4月といえば朝晩は10度を下回るときもある。この前段の準備を抑制作業という。この抑制作業がうまくいくかが最大のポイントなのである。
なんせ、椎茸菌はホダ木の中にいるので見えない。ホダ木の中で芽を形成しているのであるが、それは見えない。ホダ木の色、匂い、触った感触で状況を判断するのである。これは一年や二年ではできない。親父の代からの経験が生きているのである。まさに「門前の小僧」である。
この抑制作業を終えて、浸水作業に入る。読んで字のごとく水に浸すのである。約8〜12時間。そして、温度をちょっと上げて、乾かないようにして芽だし作業をする。
そうして2〜3日すればホダ木に芽が出てくる。発生である。それを棚に上げて大きくして収穫となる。
そこで問題になるのが、発生舎の湿度管理。収穫した茸を商品とするわけだが、スーパーで買った椎茸を見てわかるとおり、いい茸とは身が厚く、ほどほどに乾いている。
水分が多いとすぐ腐る。水分がないと大きくはならない。乾けばそれだけ量目が少なくなる。大体、一パック100gから200gのアイテムで出荷するのだが、それは水分の含有率で大きく変わる。だから、量目でなくてパック満杯詰めを基準にしている業者もいる。そちらのほうが正解かもしれない。欲得が絡んでしまう。
このように商品価値を決めるのは発生舎での湿度管理である。天気がよければ温度が上がり湿度は下がる。そして茸は軽くなるし、大きくならない。
天気が悪いと温度が上がらず、茸の水分が多くなる。日持ちがしない・・・。だから、ハウス内には温度家と湿度計は欠かせない。
温度管理はハウスの遮光幕を掛けたり剥いだり。湿度管理は換気と散水である。この管理によって茸の商品価値は決まる。