<椎茸作業・・・初浸水・・・>

オダマキが咲き始めました

<椎茸作業・・・初浸水・・・>

 椎茸作業は連休も終わり、自然子(春子)の収穫も終わり、夏菌の収穫にはいる。

夏菌というのは業界用語でいわゆる高温菌ということである。20度〜25度くらいの温度で繁殖する菌という意味である。この夏菌にはいろいろな種類があるのだが、どの菌も原則として収穫は浸水して水分と刺激を与えて収穫する。


収穫は浸水した後の1週間が「勝負」だといわれている。どうして「勝負」なのかというとこの菌は成長が早い。極端に言えば朝蕾だったのが夕方になると開ききっていることがある。それは商品化にはならない。


そのため、熱心な人は朝、昼、夕方と一日3回収穫するといわれている。それに浸水するので、水分過多になる確率が高い。天気が良くてハウス内が高温だと水分の抜け方が早くて乾燥する。そうすると成長が止まる。


天気が悪くてハウス温度が低いと水分が抜けなくて水分過多で開いてしまう。そうすると日持ちがしないので販売店は嫌がる。この調整が難しいのである。手間隙がかかる。


 冬菌の115号だと蕾が出てから収穫まで一ヶ月もかかる・・・。この雲泥の差。これが自然を相手にしたシイタケ栽培の難しさである。だから、原木椎茸でも夏菌をやる人は少ない。私は親父が夏菌も結構やっていたので何の気なしに周年栽培ということで夏菌も取り入れた。


夏場に仕事がないということも理由だったが、夏場の椎茸が菌床椎茸の独断場では原木椎茸屋としてはプライドが許さない。


 しかしながら、初年度とはいえ、難しかった。4月で自然子は終わるので5月から夏菌と収穫しようと計画していたが、そのため「形成菌」といういわゆる「早生」の菌を使った。通常の菌(「駒菌」と言われる)だと6月採りなので一月欲張ったのである。

きのこセンターから、3月にハウスに入れて温度と湿度を上げて思いっきり「蒸すような環境」をつくらなければならないと指導はされていたが、その「蒸すような環境」というイメージがわかなかった。だから、怖くて30度以上にはできなくて・・・・


 五月の上旬に一回目の浸水をして「試し採り」を試みた。結果は大失敗。ほとんど芽が出てこないのである。当初は原因はわからなかった。一週間後に二回目の「試し採り」。これも大失敗。悔しかった。いろいろ勉強してみた。そしたら、収穫適期というシグナルがホダ木に現れることがわかった。


いわゆる「空芽」という椎茸菌の塊がホダ木の表面に発生する。発生しただけではだめでそれが褐色に変色したら収穫適期ということなのだそうだ。じゃ、「空芽」を出すためにはどうするか、思いっきり温度と湿度を上げなければならない。

 ホダ木の表面を乾かさずにホダ木の温度を上げるのである。だから、ハウス内の温度は35度以上にもなる。ホダ木は組んで積んであるため、ハウスの温度より5度くらい低い。また、湿度を上げるために水をかければ、それ以上ホダ木温度が下がる・・・。


 なんでもそうだが、最初は失敗する。問題はその失敗の原因がなんなのか的確に把握することである・・・。とモノの本には書いてあったが、それでも悔やまれる。3月にハウスに入れて準備しておいて・・・・それにもかかわらず、派手に失敗して・・・・悔しい。これでは最初の生産計画は大幅に狂う。


 この夏菌は、10月までに4〜5回収穫する予定である。最初に一回目は失敗である。二回目以降に失敗を挽回できるか・・・やってしまったのは取り返しがつかない。授業料と思って再起するしかない。