<椎茸作業・・・植菌作業から・・・>

仮伏せのホダ場です。

<椎茸作業・・・植菌作業から・・・>

 椎茸作業については、4月24日アップの「原木の調達」以来ご無沙汰していた。この間当然椎茸作業は進んでいたわけで、原木の調達以来、植菌作業、仮伏せ作業、本伏せ作業、天地返しと続いてきたわけであるが、現在は本伏せも終わり、天地返しにかかっている。天地返し作業といっても一般の人はわかりづらいと思うので適時に説明していきたいと思う。


 まず、調達した原木に椎茸菌を培養した駒を植菌するわけであるが、この椎茸菌にはいろいろな品種があり、その品種ごとに形成菌(オガ菌)と駒菌というのがある。


形成菌というのはオガクズに椎茸菌が培養されていて、菌の活性力が強く、作物で言えば促成栽培用といってもいいだろう。植菌してから早くて7〜8ヶ月で収穫できるのである。しかしこれは人工的にホダ場の環境を作らなければならないから手間隙がかかる。


駒菌というのは木の駒に培養した自然条件の中で熟成させるため晩成のものである。収穫までは早くて14〜15ヶ月かかるのである。この形成菌と駒菌がそれぞれ夏出し、秋出し、冬出しがありそれぞれの栽培体系によって組合わせるのである。


 植菌作業はほぼ3月中に行われる。私が退職したのは3月末であるが、有休残が20日ほどあったので3月上旬から休んで植菌作業にあたった。これが椎茸作業で一番の重労働なのである。一番太い原木で20キロ近くある。


それを一本一本持ち上げてドリルで穴を開けて運搬しなければならないのである。それを落として足にでもぶっつけたら、目から火花が飛び出るくらいの痛みなのである。経験したことがないとわからないとおもう。


植菌した原木を「ホダ木」という
。植菌する前が「原木」で植菌後が「ホダ木」という。そのホダ木を「ホダ場」に運ぶ。ホダ場とはそのホダ木をおいて椎茸菌を熟成させるための場所である。私の場合は松林である。


軽トラに満杯積むと軽トラが動かないときがあるので、軽トラに七部くらいしかつめない。それを松林に運ぶ。私の松林は都合の良いことに自由に軽トラが入ることができる。このホダ場は20年位前まではブドウ畑だったのだが、ブドウでは採算取れなくて伐採し、親父が黒松を植林した。


それも一間×一間半(1.8M×2.7M)の碁盤の目上に。おまけに全くのなだらかな畑である。それが幸いし、わがホダ場は他に例がないくらい作業がしやすい。前述した重たいホダ木を持ち歩くことがなく。ただ軽トラからおろすだけでいいのであるから・・・。


それに、砂地の松林というのがホダ場としては最高に条件がいいのである。日本きのこセンターによれば「直射日光が当たらない」「風通しがよい」「排水が良い」「湿度が低い」の4条件がホダ場の条件として挙げられている。私の松林はこの4条件にぴったりなのである。


原木椎茸が廃れてきたというのは、このホダ木を運ぶという重労働が影響しているといわれている。通常ホダ場というのは、砂地ではないから、軽トラがぬかるんで入れない。入れたとしても、平地のホダ場というのはほとんどない。ほぼ傾斜地である。


だから、重たいホダ木を軽トラから下ろして、10Mも20Mも歩かなければならない。繰り返すが一本一本持ってである。私の松林ではこのような作業が8割がた軽減される。

<写真は、植菌したホダ木を松林に仮伏せした風景です(5月)>