<椎茸作業・・・植菌指導(二)・・・>

一生懸命に植菌する

<椎茸作業・・・植菌指導(二)・・・>


 作業はドリルは私と施設の職員が担当した。危ないので通所者には任せられない。彼らは植菌作業と、原木の運搬を担当する。私が原木を井桁に組んでその上に角材を渡して、ドリル台を組んだ。


穴を開けた原木は台の下において通所者がメイメイもっていって菌を打ち込む。打ち込んだ原木は穴全部にきちんと打ち込まれているか確認する「検査係」がいて、その後われわれが言うホダ場に伏せこまれる。その伏せこむ場所は、ドリル台から20〜30メートル離れている。


盗難防止のため、簡単に持っていかれないようにとの配慮である。しかしながら、運ぶ人が大変である。一本一本運ぶのだから、私がする通常の仕事ではない。通常、運搬車か軽トラに積んででも運ぶのだが、彼らはそのような「器用」なことはしない。しなくても人数がいるからなのである。これを人海戦術というのだろう。


 ドリルでの穴開けは私には慣れたものでそんなに苦労ではないが、もう一人の職員は大変である。肩に力が入ってしまって、腕が重いし肩が痛い。通常はドリルが一番の重労働なのである。彼の「処理能力」は私の半分である。それは初めてであるから仕方ない。


 穴に菌を打ち込むグループは楽しそうに作業をしている。確かに単純作業だが、この作業は結構面白いといわれている。夢中になれるのとカ〜ンを原木の叩く乾いた音がすごく心地良い。松林の中に響くのである。しかしながら、運搬グループは大変である。


重い・・・汗だくになっている。時たま菌打ちグループと変わるのだが、皆ピーピー言っている。しかしながら、文句は出てこない。彼らにとっては心地良い疲れなのか・・・いやいや心地よさはすでに通り越しているはず・・・・
 

こんなことをしていて一日はすぐに終わった。全体の三分の二はできた、というところか。終わり頃には作業員が増えて10人もいたのではないか。余裕を持ったドリル作業であったが、終わる頃には全体的に植菌が慣れたせいもあって、尻を追われる状況にもなっていた。この調子だと明日は半日で終わりそうである。


 終了後、ホテルでシャワーを浴びてから、参加した施設の職員4名で一杯やった。皆20代と30代である。五十のオジンとは付きづらかったと思うが、彼らは原木椎茸の私の話をまじめに聞いてくれた。私も調子にのっていろいろ話したので、酒の量も結構進んだ。
それでもそんなには酔っていなかった。


 私の友人は、原木椎茸はこの施設にとってはビジネスチャンスである。何とか成功させたい、と何度も何度も熱い唇で語った。今年は1000本だが来年はもっと増やしたいとも。私にどれだけできるかはわからないが、協力することはやぶさかではない。原木椎茸の本物の味を何とか広めたいと思う。