<椎茸作業・・・井戸堀(一)・・・>
<椎茸作業・・・井戸堀(一)・・・>
先にも椎茸菌はカビの一種と説明したが、ホダ場ではそのカビが繁殖しやすい環境をつくることが基本である。つまり、適度な温度と湿度ということになる。とりわけ、湿度にはすごく敏感で過乾燥は良くない。
それで、必要になるのは散水施設である。水掛けの設備である。ところが我がホダ場には散水設備はない。引っ張ってくる水がないのである。そのため、どうしても井戸が必要となってくる。
この井戸の確保は昔からの課題であったが、親父は自然に任せていた。今のホダ場は昔はブドウ畑であった。もう30年前のことである。ブドウでは採算が取れないので切って普通の畑にしてメロン栽培の農家に貸したりした。ブドウ畑時代は散水設備はあったのだ。メロン栽培の時期も井戸は生きていた。
しかし、20年前からは井戸は使っていない。汲み上げのモーター類やポンプ、電気設備なども撤去した。しかし、掘った井戸自体は残っていた。
近所の水道屋がいて、彼にいろいろ相談してみたが、新たに井戸を掘るようになると100万近くかかるとのこと。前にあった井戸が今も生きていればそれを使うのが一番無難、とのことであった。しかし、素人の私にとってはそれが生きているか死んでいるか、わかるはずはない。
その井戸は、現在のホダ場から300Mも離れているのである。つまり、そこから配管しているのであるが、その配管自体も大丈夫かはわからない。
その水道屋が「全部俺がやってやる」というので任せることにした。それしかないのである。そしていろいろ知恵を絞り、経費を最小限にするため、友人から廃棄されたコンバインをただでもらって、それを動力源とすることにした。コンバインを改造して、エンジンだけを利用するのである。
最初は耕運機や小型の動力源を想定したが、それでは、300Mの配管を井戸の汲み上げは無理じゃないかということで、コンバインクラスのエンジンでないと難しいとなった。そして、そのエンジンが運よく見つかったのである。そのコンバインは見事に改造された。
刈刃部とコク動は取り外されてエンジンには特殊なプレーを取り付けてポンプと接続した。エンジンのスタートはバッテリーとセルモーターなのでキーをまわすだけ。ポンプのエアーの圧縮を見るためのゲージと排出する圧力を確認するためのゲージがそれぞれ取り付けられた。
ポンプはこれでよいとしても配管はひどかった。あっちこっちが破損していた。井戸から水をあげて配管を通して送り込むと農道のあっちこっちから水が噴き上げられていた。20数年もなるんだから仕方ない。
松くい虫防除のために伐採した松被害木を運ぶための運搬車がその道路をつくるために、配管を掘り起こしたり、キャタで踏みつぶしたり・・・サンザンな状況であった。しかし、それは修理すれば使えるので新たに作るよりも安上がりなことには違いない。