<読書・・・「生命と食」(岩波ブックレット)その三・・・>

カライトソウという花です。私葉初めて

<読書・・・「生命と食」(岩波ブックレット)その三・・・>



最後に、「食の安全」についての章ですが、遺伝子組み換えの危険性を指摘しております。先に「動的平衡」ということを述べましたが、生物界ではその考え方がまだ確立されていないとのことです。


要するに通常の品種改良だと、作物の品種改良は何年もの時間をかけ、品種としての安定とその性質を確立し、その中で平衡状態を確認して、新たな品種とします。しかし、遺伝子組み換え作物は、生態系の中での平衡が確認されていません。


動的平衡の状態が確認されていないのです。自然界の害虫を殺すかもしれませんし、新たな耐性菌が出るかもしれません。そのようなリスクが何ら明らかにさえていないのです。


また、食品添加物についても指摘しています食品添加物には食品本来の「分子」はないので、人体にとっては不要なものです。不要なものが人体にはいることにより無害化するための負担が強いられます。つまり、それが入ることにより腸内の生態系が変わり、それによってそれによって死滅する腸内細菌や増殖する腸内細菌が生じます。


ソルビン酸という保存料がそれですが、それによって何十年と腸内に負荷がかけられれば、人体に何らかの影響を与えることは不思議なことではありません。
「数日間の腐りづらさととりあえずの安全性だけを求め、時間を忘れている食品添加物の使用も人間の部分的思考基づくほかなりません。」といっています。



そして最後に、食の安全性について安い価格を追求するためそのプロセスがブラックボックスになっていることを言及しています。
ファーストフードの安いハンバーガーには牛肉の安い部位だけを集めて、それを加工して均一化し量産するという過程の中で、見えないプロセスがあるということです。


それはハンバーガーだけではなくて他の安さを追求する食材については同じことが言えると思われます。つまり、安さだけを追求していては、食の安全性は保障できないと筆者は言っています。


食物とはすべて他の生物の身体の一部であり、食物を通して私たちは環境と直接につながり、交換し合っています。だから、自分の健康を考えることは、環境のことを考えるということであり、環境のことを考えるということは、自分の命を考えるということでもあるわけです。」と結んでいます。

一流の分子生物学者の福岡氏がこれまで突っ込んで、「食」についての言及に私自身「目からウロコ」でした。食と農に携わるものにとっては必読文献といっていいでしょう。(
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