<椎茸作業・・・原木の調達(一)・・・>

椎茸の自然子が生長しています

<椎茸作業・・・原木の調達(一)・・・>


 原木椎茸の最初の作業は春先の植菌作業である。しかし、そのためには植菌するための原木を集めなくてはならない。


 私の住んでいるところは、日本海岸沿いの砂地の平地なので原木となる良質のナラの木がない。椎茸の原木はナラやクヌギ等が適しているが、実際はほぼナラである。それは「山師」や「山子」といわれる業者から購入しなければならない。


林業者も椎茸の原木を切り出している人がいるが、彼らはそれよりも営林署の杉の間伐の方が金になるからそちらを優先してしまうきらいがある。営林署の場合は入札などの契約となっているから、我々みたいな口約束での対応とは数倍面倒くさいのだが・・・



親父がやっていたころの原木を扱う業者は高齢のためにすでに廃業していた。だから、一から探さなければならない。昨年の八月ころから探し始めたのだったが、そのノウハウは全くなかったといってよい


 最初は、原木椎茸農家を種駒を扱っているきのこセンターの担当者に教えてもらった。そして、その農家に電話でどこから調達しているか聞いた。しかし、彼らのほとんどは自らの山から原木を切り出している山の所有者なのでなかなか話が見えない。ようやく探し当てても、200本とか300本の世界で1万本を予定している私には話しが合わない。



 農協の担当者にも聞いてみたが、過去に扱ったことがあるが、その資料が手元になくて探さなければならないとのこと。願い倒して探してもらうことにした。地元の森林組合にもお願いした。


あとでわかったことだが、森林組合はナラの木などは扱っていない。ほぼ杉専門でナラなどの雑木は薪としてしか価値がないので見向きもしないようである。しかし、林業者との付き合いはあるのでその人たちに当たってはみるとの約束は得た。


このように様々なつてを頼っての言わば、営業活動である。この営業のノウハウはLAで習得したノウハウである。結局、7〜8人に当たってみた。訪問もしてみた。住所と名前だけを聞いてアポなしで訪問したらその家が当日葬式だったりして、笑うに笑えないこともあった。


 ようやくのことで、3名の椎茸の原木を扱っている「山師」の情報をえた。この時点で9月である。その山師たちに何回か連絡を取って、「こんな木でもよいのか、見に来い」ということで、とりあえずは切り出す山を見に行くことにした。


 私にとってはナラの原木の山を見るなんて初めてである。見たってわかるはずがない。しかし、山をみて原木の樹齢や切り出す本数、単価などを決めなければならない。単価の相場なんてもわからない。半ばハッタリである。


 事前に電話でいろいろと話をしているので相手は私を玄人だと思っている。また、玄人として話さないとなめられてぼったくられる恐れがあると思った。