農業問題・・・・秋田県農業者ネットワークの理念・・・・

これはいわき市での日の出です

秋田県農業者ネットワーク」の理念

 前回、農業者ネットワークの結成声明をアップしました。一つのまとまりですので、綱領的なものが必要となります。特に農業の場合は、市場開放派など様々な「論客」がいるので、広範な考え方を受け入れるという立場ですが、どんな考えの人でも一緒にやれるわけでは有りません。

 そのために「理念」を作成しました。100%共感してもらわなくても概ね賛同できたら一緒にやれるのではと思っています。この内容は決して簡単なものでは有りません。一つ一つの言葉に様々な意味がこめられています。自給率一つとっても、農水省が発表した数字にも様々な意味が有り、専門的に考えれば、諸手を挙げて賛同できるものでも有りません。

 そういう意味で、今後議論していかなければならないものと考えています。読者の議論を歓迎します。

農業・食料政策の基本理念
2009年12月
 秋田県農業者ネットワーク

1、 <食料主権>

食料は基本的人権である

 食料は人間の生存の糧である。世界には7億人の飢餓人口が存在しているといわれているが、その人権を確保できないでいる人々が多数いる。生存が危ういこと以上の基本的人権の侵害はない。国民が主権を有する国家はその責任において、適切と判断する食料自給や調達の在り方を決める権利を有するべきである。それを「食料主権」という。


2、 <国家管理と自給率の向上>

国は国民に対し、基礎食料を政策として保証し、自給率を高めなければならない。
基本的人権である以上、憲法の精神により食糧を管理しなければならない。食料自給率が40%前後という先進国中最低の数字は基本的人権が危うい状況を示しており、人間の生存のために不可欠な基礎食料については国の管理の下に100%をめざさなければならない。


現状の自給率は基礎食料を諸外国に頼ることになり、それがまた食料の国際価格の高騰を招き、世界の食糧事情に悪影響を与え、飢餓人口を増やす可能性がある。食料の自由貿易を謳ったWTOの農業交渉には断固たる態度で反対、阻止していかなければならない。

3、 <多面的な価値と持続可能な農業>

農業にはその多面的な価値として、国土保全環境保全等の機能も存在する。それは地球温暖化問題にも大きく寄与するものであり、それを日本的な家族的農業を中心とした「持続可能な農業」によって、農村等の生活を維持していくことが最も合理的だと考える。


近年の地球温暖化対策としても農林業の振興は有効であり、それは単なる産業政策としてだけではなく、環境保全、国土保全、農山村等振興、教育文化機能など「非経済的な多面的価値」をも有しているからである。その多面的価値は伝統的な集落機能により維持されてきた。低下が伝統的文化や農村等の荒廃など多面的価値損失につながり、今日の自給率低下にも影響していると考えられる。


また、多肥、多農薬による生産性指向の「近代農法」は環境破壊にもつながる可能性があり、食の安心、安全かつ、環境にやさしい主に家族単位の「持続可能な農業」を国民の理解を得つつ、消費者との連携を追究しながら進めなければならない。


4、 <再生産を保障する政策による農村の維持発展>

農業及び農村等を維持発展させていくためには、その担い手である農家及び農業の多様性を認め再生産費を保障する政策が必要である。


今日、自給率を高めるということは簡単なことではないが、過去に日本では食糧管理制度の下に食糧増産運動が行われ、販売農家には「生産費所得保障方式」による米価が保障され水田農業が確立してきた経過がある。欧米では農家所得の70%が国からの補助金等であるなど手厚い保護が施され、それが再生産を保証している。


日本の農業は集落を基点としたその共同体機能により、農業及び農村を維持してきた経過がある。それが今日の水田農業を確立してきたといっても過言ではない。現在の選別的農業政策は、産業として確立させることを主眼としており、農業の多様性を認める方向は見られない。中小農家が地域で担っている多様な機能を正当に評価し、分け隔てのない政策により農業及び農村を維持発展させていかなければならない。

以上