<農業問題・・・公開講座「地域再生システム論」(四)『自給率とい

奥森吉、小又峡の紅葉です

<農業問題・・・公開講座地域再生システム論」(四)『自給率ということ』・・・>



そして、自給率向上の持つ意味を取り上げ、国民、農業生産者及び団体、食品業界、政府などのそれぞれの役割を説いているのだが、戦後あれだけ食料の増産運動を食管法などの政策でしておきながら、前述したようなこんな「みじめな自給率」になったかは触れていない。
次回、次々回でもゆっくり話ができる時間が欲しい。


次に、秋田県の農業の位置について触れた。金額でいうならば、昭和60年から、平成17年の20年間で農業産出額は1350億円低下した。そのうち、米が1078億円である。


つまり、これだけの収入が減じたことになる。一人当たりに直せば計算はしてはいないが、相当の額になるはずである。それともう一つ、秋田県のサラリーマンの生涯所得である。平成2年の試算では、全国47位ときている。ちなみに、農協職員のボーナス支給率は全国最低である。

この低賃金構造、これは私が農協労時代から言ってきたことだが、秋田の賃金は全国の7割と言われていた。故に、サラリーマン給与では家計費を充足できないので自ずと農業所得を当てにするしかない


 兼業農家が田畑を手放さないというのは、資産価値が上がるのを待つためだとか、先祖代々云々カンヌンといって
いる人がいた。(今回講師に来た「神門氏」はその急先鋒といってよい)農業収入が生活に大きなウエートを占めているため手放せない、ということが本音なのである。


 長濱氏が作成した資料にはそのことが示されている。特に東北は農業収入を当てにする率が最も大きい。



そして、最後に規模拡大の限界を、東大の生源寺教授の研究を下にいわゆる「中型機械化体系」といわれるものだが、10ヘクタールを超えるとコストが逆にアップする、という論である。私たち現場の感覚でも、一家族で、家族農業として営農するには稲作単作だとしても10ヘクタール程度が限界だと思う。それに年寄り世代が関与して野菜など複合的に経営するのが限度だと思う。


 ところが、東北大の大泉教授などは20〜30ヘクタール以上の経営が十分できるという。雇用労力を使うのなら十分可能ではあるが、そうなればコストが今まで以上にアップするし、それを家族農業とは言わないはず。長濱氏もそのことを言及していて、大泉教授の論を検証しなければならないといっていた。


 そして、最後にさすがに農協について言及せずにはいられなくなったのか、「農協は原点に戻らなければならない」と。農家の加工産業への進出や消費者との交流、連携というテーマで、それをコーデネートするのは、農協が最適なポジションにいるからである。


 現在の農家や農業は消費者という「魔物」を無視しては成り立たない。食管法が健在だったときは、むしろ旗で米価の値上げを訴えればよかったが、そんな時代はとっくに終わった。


 この「消費者」という「魔物」は私も含めてもっともっと研究しなければならない。ピンからキリまでの「消費者」を一くくりでは分析はできないはずである。スーパーなど大手資本は、マーケッテングの常識として、「消費者」を様々に分類して商品ごとにターゲットを絞って販売戦略を練っている。


 そのような絞込みが適当なのかはわからないが、生産者もその手法をもっと使ってもいいと思う。
さすがにこのような話にはならなかったが、このことについてもいづれ議論はしていきたいと思う。