<読書・・・「生命と食」(岩波ブックレット)その一・・・>

先日鳥海山の登ってきました。鳥の海の

<読書・・・「生命と食」(岩波ブックレット)・・・>

 先に福岡氏の「できそこないの男たち」の書評をアップしたが、またまた同氏の「生命と食」をアップさせていただく。彼の本を読んだ後彼の本をネットで検索していたら、偶然とこの本が出てきた。ブックレットなので読みやすいのでアマゾンで購入して呼んでみた。これがまた「目からウロコ」なのである。


 私の「専門」の食と農の分野でほぼ私と考え方を共有できている・・・のである。難しくいえば、科学的にそして弁証法的に食と生命を論じているのである。早速紹介したい。


 まず、「生きることと食べることの意味」の章では、食した食物に含まれるたんぱく質アミノ酸)などの成分は全身に飛び散り、人体のあらゆる組織の一部分となっていること
「つまり、食べ物の分子は単にエネルギー源として燃やされるのではなく、体のすべての材料となって体の中に溶け込んでゆき、それと同時に、体を構成していた分子は外へ出ていくということです。」



これを「動的平衡」というのだそうです。つまり「身土不二」をいう考え方が科学的に証明されていると私は確信しました。それを人体のすべて組織で死ぬまで続けられていくのだそうです。


人間が作った物質は「退化」(エントロピー現象)が有るが、生命にはこの「動的平衡」があるため病気はするもののエントロピーとの競争で勝っているときは若返るし、負けているときは老化する・・・そして最後はエントロピーに勝てなくて死を迎える・・・ということだそうです。


だから、そのエントロピーという退化現象の速度に勝つためには食物のアミノ酸などの働きが重要なポイントになるのです。まさに「身土不二」です。


次に、「狂牛病」の章ですけど、1985年からイギリスで起こった狂牛病ですが、その日本政府はじめ、アメリカなどの対応が非科学的「リスク管理」の手法であることを暴露しています。まず、狂牛病は「人災」だということです。


草食動物の牛を「肉食動物」にしたのが間違いの始まりだということです。要するにホルスタインなどの乳牛を搾乳の道具としてその乳量のアップのため、動物の死骸が原料である肉骨粉などの動物性たんぱく質を餌としました。


その肉骨粉に含まれている病原菌は原則として手放し状態で、それを給仕した動物に対する影響なども調査はしませんでした。また、そこには儲ける為のシステムも組み込まれていました。

前述したとおり、狂牛病の発見は1985年です。それまでは、同じような飼育方法がとられていましたが、それは発見されませんでした。何故1985年かということです。実はそれは1973年の第4次中東戦争が影響しているということです。「第4次中東戦争」と狂牛病がどんな影響があるのか・・・です。



ご存知の通り、第4次中東戦争の影響で日本もオイルショックが起こり、トイレットペーパー騒動が起こりました。私はその頃学生で生協でバイトしてトイレットペーパーの街頭販売をした記憶が生々しく残っています。そのオイルショック原油の値段が高騰し、それが肉骨粉の製造方法を変えました。

それまでは、製造過程で130度で2時間煮沸していたのですが、その燃料の高騰で業界ぐるみで、1980年ころからはそれを30分に短縮してしまったということです。そのため、狂牛病の病原体が肉骨粉に残存することになったようです。そして、5年間の潜伏期間を経て、1985年に一斉に発病したようです。効率主義の経済構造がここにも影響したのです。まさに人災です。


先日鳥海山に登ってきました。天気もよく最高でした。撮ってきた写真を紹介します