<農業問題・・・消費者から見た食と農(三)

チングルマです


<日本の農業を守るということはどういうことか>


 次にどのようにして日本の農業を守らなければならないのかということです。「安全、安心」などのようにして保証していくかということです。本来なら国民の食糧政策ですから、国が保証するのが当たり前、と思うんですが、どうもそんな方向からは遠ざかってきているようです。


 生産者には今、農産物にいつ、どのような農薬を使ったのかすべて記録しておくような法律が施行されています。日本の生産者にですよ。外国じゃないですよ。そのため、農家の負担は相当なものになっている。これに文句を言うわけじゃないですけど、それは「40%」に対してだけですからね。あとの60%には日本国としてはこんなことはできないんですよ。


 牛肉のBSE問題ありましたよね。あれは1%か2%程度の抽出検査ですよ。こんな甘い検査なんてありますか?アメリカの圧力に負けたんですよ。そのほかにもいろいろ問題はあるんですけど、問題はどうしてそのようになるのかと。


 確かに日本政府の「弱腰」もありますが、アメリカは文化の違いもあると思いますが、食糧に対する考え方が違うんです。アメリカはすべてが商品なんです。つまり、儲けの手段なんです。最低コストで最大の利潤という考え方です。しかし、日本は違う。


 アメリカの考え方を日本に押し付けられちゃたまったもんではない。日本には日本の風土、歴史、文化がある。食糧に対する考え方だってそうである。グローバルな時代だからといって押し付けられちゃ困る。これをきちっと主張しなければならないのです。

<生協について


 次は生協についてです。生協も最初は「安全、安心」といっていたが、今はなかなかそういうことを言わなくなってきた。農協はもちろんですが、その職員である私がそういっているのですから、間違いは無いのですが・・・・生協はご存知の通り、「ギョーザ問題」がありました。


 生協では日本生協連というのがあってその総会で「ギョーザ問題」でケンケンガクガクの議論があったようです。なぜ、チェックができなかったかということが議論の対象となったらしいです。要するに「安全・安心」を優先するか「安価」を優先するかということらしいです。


 日本にも各都道府県ごとにさまざまな生協がありますが、その生協のスタンスを図るスケールとして有機農産物の取り扱い方針がわかりやすいです。先に秋田で日本有機農業学会というのがありました。そこには、生協グループごとの有機農産物に対するスタンスの違いが報告されていました。「有機農産物」というのは「安全・安心」と最もかかわりのある品目で生協グループごとの取り扱い方針の違いに面白いことがありました。

 コープネット事業連合会」というところが「通常の対応」としています。「通常の対応」というのは農薬をいっぱい使った農産物も、「安全・安心」に配慮して生産した農産物も同じ扱いということです。つまり、そこには生協としての「事業」はあっても「運動」はないということです。


 生協だから消費者運動としてはじまった訳だから、生協としての主体性というのが無ければならないはずであるが、「有機農産物」と「一般の農産物」を同等に並べておいて、お客様に好きなほうを選んでください、といっているようじゃ、普通のスーパーと同じじゃないか、どこが生協なのかということです。

 「トップブランドとしての対応」というのが「パルシステム事業連合」というグループです。トップブランドというのはどういう意味かわかりませんが、「有機農産物は今はやりだから・・・」という一時的な位置づけなのか「運動としてぜひ必要なもの」として位置づけているのかはわかりませんが、結構、産直とか生産者との交流もやっているところから、運動という感覚はあるんじゃないかと思っています。しかし、これは連合体ですから、単体の生協としてはそれと違うこともあると思います。



 そして、「生活クラブ生協」は「独自ブランド」として位置づけています。この「ブランド」という言葉は好きじゃないんですが、山形には米沢に小さいのがあると思っています。全国ネットですが、組織としては小さいです。この生協は品物、商品を「消費財」という言葉を使っています。「商品」という言葉は使っていません。


 そして、日本の農業を守るということをひとつのポリシーにしております。そして、産直にも相当の力を入れています。そして、生産者との提携も盛んです。3年前に国によって「有機農産物認証制度」が作られました。


 過去3年間、無農薬、無化学肥料で栽培した農産物を「有機農産物」として認証する制度ですが、しかし、「生活クラブ生協」はこれとは関係なく独自で、生産者との信頼関係の下で「有機農産物」の認証をしています。ですから、「有機農産物」を「いい農産物」といってはいないし、当然「悪い」とも言っていません。


 このように生協もその方針考え方も結構違う、ということです。ここにも生協の組合員がいると思いますが、加入している生協がどんなポリシー、方針を持ってまた、運動としてやっているかを確認してみたほうがいいのじゃないのかと思います。 


 そして、「共生」ということなんですけど、農協も生協も「共生」という言葉をよく使いますが、口では言うのですが実際何をしているかと問われれば、私もわからない。目に見えてこない、というのが本音です。そういう意味では、生活クラブ生協なんか「交流」「提携」を通じて「共生」の方向を示しているんとは思うんですけど・・・・