<今、農協は・・・総代会(3)・・・>

イワカガミの変種でシロバナイワカガミ

<今、農協は・・・総代会(3)・・・>


<合併10年の検証は・・・>

 つづいての課題は合併10年間の検証である。合併3ヵ年計画などそのつど中期計画を作っているはずである。その通りに行ったのか、いかなかったのか、その原因は何なのか組合員に示す必要がある。


組合員がまたそれを求めなくてはならない。組合員からの経営者への苦情は私が現役のとき日常茶判事であった。しかし、その経営者を選んだのが組合員であるから、「民主的な運営」が原則なのだから、総代会等で追及するという姿勢も相互の緊張関係を維持するということからも必要なことである。


 検証に当たってのポイントはいかに組合員にメリットを与えてきたかということである。農産物の生産量、販売金額及び単価など組合員にわかりやすく説明することが必要ではないか。


それが経営者の最大の仕事だからである。金融、共済事業への偏重が農協経営の常となっているが、農家の所得を伸ばさないで金融共済が伸びる筈がない


現在、両農協とも、金融共済部門と経済営農指導部門の指揮系統が別々になっている。中央会等の上部団体が「部門別採算」を強力に指導しているからと思われるが、現場では営農指導等の強化による農家所得と金融共済部門も伸びは相関することはわかりきっていることである。


つまり、経済営農指導部門の「赤字」を金融共済部門の黒字で補填するということは農協の総合性という特殊性から言って当たり前のことなのであるが、上部団体も経営者もそれを理解しているとは言いがたい。経済営農指導部門と金融共済部門を切り離そうとしているように見受けられる。


そうなると経済営農指導の情報が金融共済部門に入ってこないし、またその逆もいえる。現場の職員にとっては仕事がしにくい。それは農家組合員にとってもプラスにはならない。これはマネージメントの問題である。


合併10年を検証すれば様々な問題がでてくるはずである。第三者などから「検証委員会」創設して、反省するべきところは素直に反省して、更なる飛躍に備えたらどうか。


<経営者を評価するシステムの提案を・・・>


また、金融共済部門では「顧客の満足度」ということが盛んに言われるようになってきた。農協の「顧客」は組合員である。営農指導部門や経済部門も含めてトータルな「顧客の満足度」を毎年調査してみてはどうだろう。


総代会で提案してみてはどうだろうか。その結果は経営者の評価につながる。「選任制」というわかりづらい役員(経営者)の選出方法をとったのだから、その経営手腕を評価するシステムも必要ではないだろうか。農家組合員は現在の農協に少なからずの不満を持っている。


しかしながら、不満は持っていてもそれを正そうという動きにはならない。農家組合員にも相当の責任があるといわざるを得ない。


行政は民主的な選挙によって、首長と地域住民の距離が年々近くなって来ているように思われる。農協と行政を同等に論じるつもりはさらさらないが、末端組合員とトップの経営者の距離が行政とは逆に離れつつあると感じるのは私だけではあるまい。


その原因については関係者で議論をして行けばよいが、経営者が謙虚な気持ちで自らを評価してもらうというシステムを率先して作ることがこの距離を縮めることになることは誰でも理解できよう。いま、経営者にそれをやるだけの「勇気」があるかどうかが問われるのである。



このほかにも総代会で議論するべき様々な問題があるが、協同組合は人と人の信頼関係の上に成立しているのであり、それを基にして「事業」と「運動」を作り出してきた。しかし、今日では「農協運動」という言葉は役職員間ではほとんど使われていない。


「企業化」してしまったと言われて久しいが、かといって農協が不要なわけでは決してない。農協を本来の口先だけではなく、実質的に組合員が主人公の組織に変革しなければならない。総代会という最高議決機関でそれを実践してゆくことが、組合員自身に問われていることも忘れてはならない。