<読書・・・・「できそこないの男たち」(光文社新書)・・・>

ハマナシの蜜をカナブンが吸っています

<読書・・・・「できそこないの男たち」(光文社新書)・・・>


 標題の本を一気に読んでしまった。面白かった。何故、面白いか?「科学的な下ネタ」だから・・・・


 著者は、福岡伸一。当然だがあったことも話したこともない。だが、彼の「生物と無生物のあいだ」(講談社現代新書)も読んでこれも面白かった。この著者は分子生物学者である。簡単に言えばつい最近、冤罪で報道された「DNA」の研究家ということになろう。


標題からして「できそこないの男たち」・・・要するに遺伝子レベルでいえば男という、いやオスという存在は、出来損ないだそうである。女、いやメスが生殖学的には本道で・・・・そういう話は大好きである。飲み屋で若い女性と話す下ネタとしては最高だからである。


 男と女はどのようにして分化するか?一つの卵子に数億の精子が射精と共に競い合って、そのうちの一個が受精する。受精した精子の遺伝子がオスの遺伝子か、メスの遺伝子かでオスメスが決定される。各々の遺伝子には染色体があって人間には23対(?)あるが、オスはそのうちの一対が小さくなっている。


メスは皆同じ仕様である。妊娠7週目までは皆メスである。基本仕様がメスであるから・・・そのうち細胞分裂した割れ目がメスの場合はそのまま膣や子宮となってゆく。オスの遺伝子はオスになるため、膣や子宮に縫い合わせる。


そして割れ目が閉じられて盛り上がって、陰嚢、睾丸となる。陰嚢を持ち上げてみると、俗に言う「蟻の門渡り」とよばれる縫い合わせたような筋がある。この筋こそ、「基本仕様」をカスタマイズしたことを示す証拠なのだそうである。


 尿路つまり尿道も男性は精管(精子の通り道)と一緒である。女性は尿の排泄のための管生殖のための管が明確に分かれている。女性の方が分化が進んでいる、つまり、高等だということだそうである。そして、「男性は生命の基本仕様である女性を作り変えて出来上がったものである。



だから、「ところどころ急場しのぎの不細工な仕上がりになっている」といっている。その典型が尿管に精管を付随させたペニスだそうである。


 そして、男が不細工なのは寿命にも関係していると・・・。いま、世界中のありとあらゆる国で男は女よりも平均寿命が低い。年齢が上がるにつれて、ガン罹患率は60歳以上は2倍以上男のほうが高いというデーターが出ている。


 喫煙や大量の飲酒は発ガンのリスクになる。確かに男性のほうが喫煙や大量飲酒はおおい。しかし、全然吸わない、飲まない人と比べても男女の2倍くらいの発ガン率の差は説明しがたいそうだ。それは、ガンだけでなく、心疾患や脳疾患にも共通だという。


 男の生命的な弱さとしか考えられないという。「ガンになりやすく、感染症にかかりやすい。そして、寿命が短い。何故男はこんなにも生きるのに下手なのか」ということである。



 そのほかにも「生殖行為と快感」である。「男はあの快感から逃れられない」「男を支配する究極の麻薬である」「してもしてもしたあとからその快感がまた欲しくなる」「あの快感は人間が経験できるいかなる快感ともことなる」等々・・・


 どうしてあの快感が生殖行為と結びついているのか・・・・ドーパミンやアドレナリンの世界から解説している

 下ネタ好きは男にとっては、読み進むと止められない本である。