<読書・・・「食べものは商品じゃない」・・・>
<読書・・・「食べものは商品じゃない」・・・>
久しぶりに、「目からウロコ」の本に出会った。
竹内直一著「食べものは商品じゃない」という本である。著者は日本消費者連盟の創始者で元農水官僚である。この本は前々知っていた。知っていたというよりも、日本消費者連盟が発行する「消費者リポート」という旬刊の機関紙を知人からずっと前から紹介されていて、その関係でいずれは読まなければ・・・と思っていたのである。
アマゾンで調べてみたら、中古本でなんと本自体が1円、送料が340円ときた。定価は1800円+税である。受け取った本自体は新品と変わらない。大満足である。前置きはこのくらいにして早速内容の紹介に入る。
この本の特徴は、第一に、表題である「食べものは商品じゃない」という考えが一貫しているということ。つまり、国民の命を守るべく食料を儲けの手段にしてはならず、国家がその責任において管理すべきであるということ。「生命産業」を最優先にしなければならないと主張している。
第二に、農業は過保護ではないこと。安全安心な食料を手に入れるためには、消費者もそれ相当の負担は覚悟しなければならないということ。
第三に、農協が農家の声を吸い上げて本来の姿になれ、とのこと。
第四に、1961年の農業基本法が「選択的拡大」というアメリカの要求を受け入れて、現在の荒廃しつつある農業を作った、ということ。
このほかにもまだまだあるが、この四つの点で紹介しながら、私の意見等を付け加えます。
まず、「食べものは商品じゃない」ということは、私はこの本を読む前から主張していたことだが(恐らく、過去のブログを見ればアップされていると思います。)要するに「儲けの手段」として農業を位置づければそれではアメリカや市場開放派と同じ考えになってしまうからである。
しかしながら、農業が衰退し、後継者ができない。それは農業では採算が取れない生活ができないからである。それは著者も明確に言及している。だから農産物の再生産の可能な補償体制を作り、国家が国民の食料を保証しなければならないと。そのためには「食料基本法」をつくり、食料の自給計画を策定せよ、と主張している。
「日本国民は一年間に直接医療費として20数兆円負担しています。・・・・病気のかなりの部分が食生活に由来することは明らかです。・・・国民の健康が回復すれば10兆円、20兆円の節約になるわけです」(28ページ)
ですから、農業予算に1兆円くらい使うことはなんでもない、という論理です。痛快としか言えません。
先日、秘湯といわれる秋田県小坂町の奥八九郎温泉に行ってきました。林道際に屋根もなく温泉だけがとつとつとわいています。まさに「秘湯」です。入りたかったんですが、天気が悪く、写真だけにしました