<ブログ雑記・・・「田舎で働き隊」(二)・・・・>

生え出してきた自然子の椎茸

<ブログ雑記・・・「田舎で働き隊」(二)・・・・>

原木椎茸の作業は重労働である。一本10キロから30キロ近いナラの生木を相手にする。腰を折って持ち上げる・・・・腰と腕に相当の負担がかかるのである。それもひとつの現場体験だと思った。



私がドリルで直径8ミリの穴を開け、そこに椎茸菌の駒をハンマーで打ち込む。木が乾いているので「カーン、カーン」と乾いた心地良い音がする。この音がなんともいえないという。「すごいさわやかな音だ」「これ、面白いよ・・・・」と誰かが言った。そう、初めての人は面白いだろう。リズムよい音が響きわたる。


「ストレス解消にもなるゾー・・・」夢中で打っている姿は我々が見ていてもほほえましいというか、教えられるものがある・・・・。これが田舎の良さなんだと・・・。


休憩の時間になると、お茶を飲みながら、どうして「ちどり足」風に打つんですか?とか椎茸菌を打ち込んでから椎茸が発生するまでどれくらいかかるんですか、とかこの木一本いくらするんですか、どうやって切るんですか・・・などなど質問が集中する。


答えるのが大変である。秋田弁がなかなか通用しないこともあって・・・かといって「標準語」でしゃべるのもしゃくである。郷に入らば郷に従え、である。


だから、質問に対してその回答が理解できたかどうかはわからないが、彼らはわからないなりに質問する。私は秋田弁での応酬となる。


天気がよかったため、ハウスの中はポカポカ陽気。汗だくである。ちょっと休憩して、ホダ場に案内した。ホダ場とは植菌した原木をホダ木というが、それを育成するための松林である。


現在5千本くらいあるが、ほとんどが古くなっていて、使い物にならないが、椎茸の自然子(春先に一斉に発生する椎茸)が生え出してきているのもある。自然な形でホダ木に椎茸が生えているのを見ることは無いと思ってのことである。


結構大きくなっているのがあった。研修生はみな初めてで驚いた。生えていた肉厚の椎茸を一個とって私が生でかじった。「おいしいよ・・・」といったら他の3人も生でかじりついた・・・「椎茸の香りがする・・・」当たり前といえば当たり前であるが、


なじみすぎたせいか、私にはその香りは感じられない。そういえば、このホダ場についたとき「椎茸の香りがする・・・」と誰かが言っていた・・・。


椎茸を生で食べるのは初めてらしい。スーパーに並んでいる椎茸を生で食べるなんてできない。肉厚で新鮮だから食べられるんだろうと思う。実は私も生で食うのは初めてである・・・・。松林に差す春の光、心地良い風が松の緑をゆすり、椎茸の香りを運んでくる・・・なんともいえない日和である。都会では味わえない贅沢か。


「また来たい・・・」デジカメの設計をしている20代のAさんが思わず口にした。「今度来るときは彼女も連れて・・・・」「田舎には嫁さんはいないから・・・」みんな思わず笑った。