<今、職場では・・・・タイトル戦・・・>

大潟熱帯植物園のシクラメンである

<今、職場では・・・・タイトル戦・・・>


 先日、ボクシングのタイトルマッチがあった。日本スーパーフェザー級のタイトルマッチと聞いたが、その挑戦者が地元出身である。


それも我長男の同級生で同じ柔道部でもあった。そんな好があって応援していたのだが、地元からも後楽園ホールへ結構な応援団が駆けつけたと聞いている。結果は判定がドローでタイトル獲得はできなかった


そのドローも3名の審判のうち2名がドローで残りの一名が挑戦者の勝ちだったから、始末が悪い。2回もダウンを奪ってのことだったからなおさらである。


 彼の実家は、私のお客さんでもある。彼の母親とは柔道部の父兄会当時からの顔見知りで、私にもイロイロと契約してくれている。


 先日、それこそLAの仕事で立ち寄った。話題としては絶好である。


 「息子さん、残念でしたね。あれ、勝っていたんじゃないですか・・・・」と口を開いたら、隣にいた彼のばあさんが、


 「あれは審判が悪い・・・・あんな審判あったもんじゃない。孫が可愛そう・・・二回もダウンを奪って負けるはずがないじゃないか・・・・」とまくし立てる。「立て板に水」とはこのことである。


 隣で作業していた彼の母親も「判定は不公平、審判は賄賂もらっていたんじゃないか・・・」と母親同様に「立て板に水」。


 「口惜しかったでしょうね」というと、「生まれてこの方、こんな口惜しさは初めて・・・孫にはタイトルを取るまでやらせる・・・この口惜しさを晴らさないでは・・・・」まるで自分が闘っているかのようだった。


 親達の気持ちは十分わかった。わかりすぎるくらいわかった。この話で30分もして、仕事の話をどのようにしようか、と困った。タイミングがなかなか計れなくてこまった。


 彼らはこの寒さで完全武装して作業している。私はオーバーを羽織っただけ、さすがに寒くなった。盛り上がったこの話に水を差すのも難しかったが、無理やり話を止めて本題にはいった。


 そのせいか、話はスムーズにすすみ、こちらの思うような契約でまとまる感触を得た。私の仕事もうまくいったようだったが、彼らの迫力のある「口惜しさ」はしばらくの間私の脳裏に焼きついていた