<農業問題・・・・「日本有機農業学会」(3)・・・

雪の南天です

<農業問題・・・・「日本有機農業学会」(3)・・・>

 生協の状況については、08年6月のブログに紹介した。

要するに農協と同様に経営主義になっているということである。では、有機農産物についての取扱についての考え方はどうか、と検討したい。(なお、この項は第9回日本有機農業学会大会の大木茂氏の報告によったものである。以下「報告」という)


 まず、最初に私の考え方を述べておく。現在の多肥、多農薬による「近代農法」(「慣行農法」といっても良い)は「生産力」が最優先され商品化されることによって、食の安全と安心は二の次にされる傾向がある。傾向というよりベクトルが「売る、売れる」という売る側の論理の商品にならざるを得ないということである。


これに対してのアンチとして消費者の立場にたった生協が「運動」として成長していたと理解している。ところが、「運動」がそうでなくなり、「事業」として変質し問題化されているように思えてならない。その典型が先の「中国ギョーザ事件」である。であるから、有機農産物及び有機農業に対するスタンスが、生協運動の変質を考えるメルクマールと思うのである。


 このような問題意識から、「報告」をひもといていく。報告では、有機農産物の取扱に関しての生協の3類型を示している。


(1) 一般流通業との同質化のもとで競争する生協(以下「同質化生協)とする)
(2) 有機をトップブランドとして位置づけて展開する生協(以下、「トップブランド生協」)とする)
(3) 自生協の独自ブランドの展開の中で有機もあわせて推進する生協(以下「独自ブランド生協」とする)


 「同質化生協」としてはコープネット(組合員342万人、供給高5000億円)ユーコープ事業連合(同174万人、同2176億円)が上げられ、有機農産物に対しては特別な政策は持ち合わせていない。産直なども行なわれているが、販売の一つのツールとして位置づけられている。


「トップブランド生協」としてはパルシステム事業連合(同113.4万人、同1795.5億円)東都生協(同22.5万人、同389億円)があげられ、明確に有機農業推進が位置づけられ、生産者との交流や農業、農村地域づくりや農業を守る方向も示されている。


近年の有機農産物ブームにあやかり、国の有機農産物認証制度なども活用して旧来の産直を一回り大きくしたものと考えられ、生協としてのイメージ向上にも資するとして、トップブランドとして有機農産物を取り上げていると考えられる。


「安価、安全、安心」の理念を持ちながらも、細々としか取り扱っていなかったそれらを、時代に合わせた形で事業に取り込んで、いまやトップブランドとして取り上げた、ということだろう。