<農業問題・・・・「日本有機農業学会」(1)・・・>

雪の朝のうめもどきです

<農業問題・・・・「日本有機農業学会」(1)・・・>


 先日、突如、Nさんからメールが来た。彼は某大学の農学部の教授。学生時代の友人で18年前に彼の結婚式であって以来の出会いである。彼は私がこのような運動をしていることは承知していたが、私は彼の消息はそれ以降、わからなかった。


 大学の農学部で土壌学の研究をしているとのこと。そして、有機農業の運動に積極的に参加しているとのこと・・・・。それで彼からの連絡は、今年の日本有機農業学会の総会が秋田であるから参加して欲しい、とのことと、ゆっくりと杯を交わしたいとのこと。


 私は、[日本有機農業研究会]はあることはわかっていたが、学会があるということは初めてしった。それに参加できることは私にとっても願ってもないことである。有機農業運動にはすこぶる興味をもっているが、反面現状のそれにはすごく憂慮してもいる。そのことを彼と議論したかった。


 06年6月の私のブログに6回にわたって、山形県高畠町有機農業についてアップした。それ以降ずっと続いている問題意識である有機農業というのは温暖化問題、土壌学、生態学、地域政策、消費者問題・・・・等々いわゆる学際研究の極みであり、その実践は全国各地で行なわれては来ているが、それはまだ、点であってようやく線になりかけてはいるが、まだまだ「点線」としか思えない。


後で、詳しく述べたいが、有吉佐和子の「複合汚染」以来、ブームとしての有機農業が有機農産物化し、政府による「認証」まで進められてきた。しかし、それは「事業」という範疇であって「運動」ではない。そこにはいかんともしがたい経済の原理が働いている。


 このような問題意識から、有機農産物の流通の問題に興味を持っていた。報告者は有機農産物の販売、流通の担い手として様々な「業者」を上げていたが、生協ですら「差別化商品」としてしか位置づけていない気がする。


有機農業は「運動」だということはこの総会参加者ならほぼ共通の認識だと思うのだが、そういう意味で「脱商品化」という言葉を使っていたおもう。しかし、報告者もいうとおり、完全なる「商品」としてしか流通しきれない現実がある。


生協等の業者は消費者からのアンケート調査の結果からして、慣行農産物の30%高程度なら有機農産物は売れると見て価格をつけているという。


 このことをN氏とも一杯飲みながら議論したが、完全有機農産物の生産コストは自家労働費用も含めて30%増で収まるはずはない。高畠町のコメは60キロで3万円である。この3万円のコメをだれが買うかということである。それは米だけではない。完全有機農産物ならほとんどが慣行作物の倍以上のコストがかかるといっても過言ではないだろう。 


そうなると、格差社会が進行中の状況でこの「割高」の農産物を買う人は誰なのか・・・ということになる。金持ちのために有機農産物を生産していることにはなりはしないか・・・である。


N氏は「農産物は安すぎる・・・」「もっと高くて当たり前・・・」という。生産費を下回る価格なら、だれも生産しない。完全有機農産物の価格が生産費を上回るなら、みんなそれをつくる有機農業が「点線」である原因はそこにあると思うのだが・・・。

<つづく>