<農業問題・・・・「バイオエタノール」フォーラム(二)・・・>

大潟村の銀杏です

<農業問題・・・・「バイオエタノール」フォーラム(二)・・・>


 次ぎにこの二つの問題、(価格コストとエネルギーコスト)を検討していく。まず、価格コストであるが、原料のモミをどれくらい低コストで生産できるかである。低コストには、収量を上げるということと、投下経費の節約及び投下労働の削減の課題がある。


収量の面では、すでに10a当り1トンの収量に目途がついているらしい。いわゆる「飼料米」として開発された特別の品種があり、日本が世界に誇る育種技術の成果である。投下労働の削減については、乾田直播や今までのノウハウがこれも利用できるとのこと。このほかには流通コストなどもあるが、クリアできない数字ではない。


コメを原料に使う技術は、コメから清酒を造る技術をほぼ同様でそんなに難しいものではない、とのこと。しかし、稲藁などのセルロース系から、バイオエタノールとなると工程がやや複雑になり、新たな「糖化技術」が必要とされるという。(最近、秋田県食品総合研究所で、その「糖化技術」の元になる酵母が発見開発された)


これらを実証しようとして、秋田県では「ソフトセルローズ利活用プロジェクト」という稲藁などからエタノールをつくる事業が国に補助事業として採択され、大潟村を中心に今後5年間に渡り、「収集運搬実証」「バイオ燃料実証」「走行実証」が実施されるとのこと。


稲藁や籾殻は現場の人間なら御存知の通り、捨てる場所がないほど処理に困っている。それに食料とは競合しない。この実証研究はバイオ燃料をリッター90円以下で製造することを目的としている。 


次ぎにエネルギーコストの問題である。前述したように、バイオエタノール生成のために、化石燃料を作る以上にエネルギーを投下したのでは何の意味もない。要するに、生成エネルギーと投下エネルギーの収支が赤字であれば、作る必要がないし、黒字にしなければ意味がないということである。


 米国産のコーンスターチとうきび)を原料とすれば、投下エネルギーのおおよそ130%、ブラジルのサトウキビだと800〜900%、日本のモミ段階のコメだと110%、ということである。これにも見られるように、日本のコメだとようやくのことで「黒字」でブラジルのサトウキビだと「大黒字」という試算である


ブラジルは驚くことなかれ、一人の農家で700〜800ヘクタールのサトウキビを経営しているとのこと。事業としてやるなら、ブラジルへ行ってやれ、とは当日の講師の弁である。


 日本のコメでは恐らく商業ベースにはならないだろう、といことである。しかしながら、コメからつくるバイオエタノールは端にエネルギー問題を解決するだけではない。「エネルギーの安全保障」という課題の解決策である。いま、日本では全国の数箇所に石油備蓄基地を作ってそこに原油を備蓄している。


国内で消費するおおよそ3か月分だと聞いている。日本のコメなどのバイオマス(生物資源)が石油備蓄基地に変わったら・・・・と言うことである。日本の国土全体がエネルギーの備蓄基地となるのである。そのおかげで、農村は活性化する。雇用は創出される、そうなると人口は増加に転じる・・・。


特に日本の場合食料とは競合しないと言う大きなメリットがある。御存知のとおり転作田や耕作放棄地が山のようにあるからである。
 今つぎ込んでいる農業や環境のための補助金を次ぎ込めば、そんなに難しいことではないと思うのは私だけであろうか。

 (このブログは秋田県主催の「バイオエタノール」フォーラムによったが、文責は私にある。間違いがあったら指摘して欲しい。)