<農業問題・・・・食料自給率を考える(三)・・・>

黒松に絡んだ蔦の紅葉です。

 <農業問題・・・・食料自給率を考える(三)・・・>


 最後に、自給率アップの「処方箋」ということになるのだが、この「処方箋」というのはないに等しい。


国がその政策として、食糧管理制度をつくり消費者米価と生産者米価の「逆ザヤ」を財政支出として補填した昔のように市場経済から隔離した方策を取れればベストなのであるが、今日に至ってはそのようにはいくまい。


 政府は食料自給率50%への「工程表」を作成するとのことであるが、その通りに行く可能性はほとんどないといってよい。現在、国際的な穀物高騰という「風」が吹いているのでそれに乗って大見得を切っているとしか考えられない。その「風」が収まればどうなるのかは知れたものではない。


 パンフには「自給率を1%上げるには、『国民全体が国産小麦100%でつくったうどんを一月に3倍食べる』「国産大豆100%使用の豆腐をみんな一月に3丁食べる」といったようなことも紹介されているが、それらが実施可能性のあるものならば、とっくに実施されているといわなければならない。


 そんなことよりも、ご飯をもっと食べることが奨励されている。「米は、国民一人当たりの総供給熱量(2551?cal<うち、国産は1016?cal>)の4分の1近くをしめている。」といっている。


 続いて、飼料の自給率も10%上げれば、食料自給率は1%アップするといっている。そこで、注目されるのが「飼料米」である減反耕作放棄地など条件さえ整えば飼料米の作付けはドンドン伸びるといえる。


これは現場の担当者の実感である。転作としてカウントされ、10アール当たり3万円もの助成金がつけば、飼料米の販売価格と助成金でなんとかペイするのではないだろうか。


このパンフでは、飼料米のコスト削減が最大の問題だ、といっているが、確かにそれは間違いはないが国の助成金を増やすことにも力を入れなければならない。飼料米は水田の機能を維持するのであるから、「環境保全助成金」としても考慮することはできないだろうか。


 この飼料米は鶏卵の世界でもいえる。養鶏の餌は配合飼料といって、トウモロコシが中心である。栄養価からいっても米はトウモロコシに代替可能である。


 最後に、このパンフは、「緑提灯」のことを言っている。「赤提灯」ならぬ「緑提灯」である。「店で使っている食材に地場、国産割合に応じて星が一つから五つまでつく。


カロリーベース10%きざみで星がふえ、50%以上は一個、90%以上になると五個という具合だ。星の数は店主の自己申告制。国産農産物を応援し、お客様を大切にしようという店の心意気や覚悟」を表明していると伝えている。このような店が全国に1330店あるといい(9/1現在)、ホームページでその案内や入会手続もしているという。


 食料自給率の向上は、もう待ったなしの実施が求められており、食の安心安全の観点からも国民的合意は形成されている。外国からの輸入農産物に頼り切ってきた食品業界も、国産品を支持している。この「風」が吹いているときにこそ、50%の自給率は達成しなければならない。(了)