<今、職場では・・・・組合員の声・・・>

夏の夕日のシルエットです

<今、職場では・・・・組合員の声・・・>


 LAは日中も見込み客を選定して、足を運ぶ。出来るだけ「難しい客」は避けたいという心理は働く。「難しい客」というのは常日頃から農協に批判的で、口やかましい・・・そんなイメージの組合員である。しかしながら、仕事となれば、行かざるを得ない。


 「ごめんください。農協です。」「○○さんの共済のことで来ました。ちょっと時間はいいですか・・・・」


 奥に目をやったら、その瞬間、「ヤバイ・・・」と思った。○○さん家族のTさんだけでなく、隣の専業農家のSさんもいる。このSさんは手ごわい。TさんからではなくSさんから、間をおかず、私の顔を見て、 「まず、上がれ・・・・」


 そそくさと逃げ出すわけにも行かず、意を決して「じゃお邪魔します・・・」と上がりこんだ。


 Tさんに向かって、娘さんの共済の保障について話を始めたが、横から予想通りTさんが口を出す。

 「農協は、共済ばっかりで儲けているんだからなあ〜。農家は米価が安くて、大変なときにどうして農協ばっかり儲けるんだ。全共連なんかすごいじゃないか・・・・」


 何も反論できない。ただ、うなづくだけ・・・。


 「肥料の値段だって、元肥が200円以上値上がるって・・・それをだたの一枚の紙切れで通知して、農協としての上げない努力はどうしているんだ・・・ただ、業者や全農の言う通りなのか・・・・」 


今回の不祥事だってそうだ。あれは経営責任は重いよ。それを20万円程度の減給で済ませるなんて、それだったら、組合長は俺でも出来る・・・・」


 別に、酒が入っているわけではない。Sさんのいつものペースである。なんの弁解も出来ない。実際、農家は皆こう思っている。ただ、口に出して言わないだけで、逆にSさんのように口に出して言ってくれたほうが、助かる場合が多々ある。


 共済の話で訪れたTさんも口うるさい組合員の一人だが、Sさんに圧倒されたか、横でただ笑っているだけ・・・。


最後に
「お前がせっかく来てくれたんだから、お前の提案を検討してみよう。ただし、大きいのは入れないよ。」


これで救われた。来た甲斐があった。