<農業問題・・・・相馬村農協に学ぶ・・・>

集会の状況

<農業問題・・・・相馬村農協に学ぶ・・・>



 今年の農業・農協問題研究所東北支部支部長、神田健策弘前大学教授)の交流集会が弘前市の相馬村農協で行なわれた。


 相馬村農協は弘前市の西隣に位置し、果樹主体農協で組合員戸数が約700戸、りんごの販売額が34億円という典型的な産地型農協である。

要するに地域農業の振興に努力し結果を残している農協については広域合併しなくても、十分農協としての価値を発揮できるということを証明することを目的として岩手連合大学院院生が調査研究し発表する機会を設けたものである。


 御存知の通り、青森にはりんごという産地形成品目があり、米とりんごによって相馬村のりんご農家の1戸当たりの販売額は700万を超え、いわゆる専業農家についても減少はしていない。果樹は相対的に所得率は高いから、60%としても400万以上の所得があることになる。これなら十分再生産費が保証され、後継者も育つ数字である。



 このように産地が形成されたポイントは、どこの場合も似ているが、共販率の高さである。青森の場合はりんごは移出業者によって育てられた、といってもよい。よって、販売力は系統農協より業者の方があった。


そのため、20年前は共販率は、青森県内で25%程度で圧倒的に業者が勝っていた。それが、ここ4〜5年で50%程度まできているという。この共販率は相馬農協の場合、90%程度だという。われわれ業界人にとっては、度肝を抜く数字である



 研究発表者は、その面だけではなくトータルに調べ、歴史的に地域の特徴も含めレポートしていたが、私の頭にはどのようにして共販率がそのような数字に到達したか、でいっぱいであった。


質問などもしたが、平成4年の台風でりんごの落下すごかった。りんごは落下すれば、商品価値が下がり、ジュースなどの加工に回るしかない。そうすれば農家の手取りは極端に減る。


他の農協や業者が落下したりんごには手をつけなかったが、相馬村農協では、りんご農家からすべて買い取った。そして、系統農協総ぐるみで販売した。受験生に「落ちないりんご」とか、生協を通じてりんご農家を助けるキャンペーンを張り、消費者に買ってくれるように訴えた。


農協が全力を上げて販売に努力した。それがきっかけとなって、農協への信頼度は増加し、それとともに共販率の高くなっていった。また、総事業費6億5千万で選果施設を完成させ、市場や消費者ニーズに合わせた。


 このような販売戦略が、共販率を高めた原因だった。特に、落下したりんごをすべて買い取った経営判断は、農協の原点を思い出させた。そして、担当職員の「農家が持ってきたりんごはたとえどんなりんごであろうとも、それを適正な価格で売ってやるのが販売のプロ。農協の存在価値がソコにある。」の言葉が印象的であった。


 わたしも、合併前の農協で共販率を高めようと四苦八苦した経験がある。その担当職員の苦労が、どれだけの苦労かも十分わかる。再度、チャレンジしてみたいと思う気持ちもないわけではないが、叶わぬ現実でもある。