<農業問題・・・「朝日の社説」に反論す・・・>

熱帯植物園のシクラメンです

<農業問題・・・「朝日の社説」に反論す・・・> 


朝の眠たい目をこすりこすり、いつものように朝日新聞を見た。通常はほとんど読まない社説に「農業を『成長産業』に変えよう」という社説。驚きを感じながら、どうせ「小農切捨て論」だろうと思って読んでみた。



予想通りであったが、現場の感覚とのずれがはなはだしい。反論せざるを得なかった。以下はその反論。



社説は、最近の「中国ギョーザ問題」を引き合いに出しながら、自給率が39%に下がった現状を、「このままでは日本の農業は滅びてしまう」嘆いている。その解決方法として簡単に「生産調整」やめることだ、と提案している。「自由に米を生産して足腰の強い農業をつくり、米価を下げて消費を拡大する」と。唖然とした。



生産調整をやめて自由に作付けすれば、コスト割れしている米価が、再生産できなくなる。そうすれば「足腰が強くなる」どころか担い手がいなくなる。専業農家が一番被害を被る。



確かに米価は下がる。しかし、下がったところで消費が拡大するという考えるのは短絡過ぎる。そんな根拠はどこにあるのか。あったらデーターを示して欲しい。だから、「下がりすぎて、農業自体が潰れないように意欲的な農家の所得を補償する仕組みが必要である」とホローしている。


「所得補償」持ち出さざるを得ないのである。「ヨーロッパでは農家所得の半分くらい政府が直接補償している」ことも紹介している。


つまり、「所得補償」は必要なのである。しかし、「米価が3割下がると農業が主業の農家に補助対象を絞れば、2000億円程度ですむ」それで「新たな財政負担なしでできる」と論じる。まさに机上の空論である。



「米価が3割下がる」という根拠は何か。この社説では米の輸入自由化を将来の展望としていて、「日本の米価が大幅に下がれば、いい勝負になる」としている。中国産米が国内産米の1/4〜1/5である現状で「3割程度」下がったところで、どんな意味があるのか



民主党でさえ、「1兆円」必要だといっている。意図的な世論誘導の意図さえ感じられる。
このような論理のなかで「飼料やバイオ燃料へ思い切って用途を拡大してはどうだろう」とまともな提案をしている。


しかし、この試行はすでにあっちこっちで行なわれていてこれを知らないわけはあるまい。コスト的に採算が引き合わない現状をつかんでいないわけではあるまい。天下の朝日が・・・。


バイオ燃料米」を育成すれば、主業とか兼業とか区別する必要はない。補償対象を主業農家だけに絞る必要もない。米の輸入自由化を念頭に置いた社説の論理は破綻する。


それに、農業の国土保全環境保全、地域社会再生への果たす役割は主業と兼業農家がともに「共同体」を構成する中で形作られてきた。この様な日本的な生産様式は経済合理性だけでは論じられない。それが日本の農業の特性と言ってもよい。



最後に、「安心、安全」にはコストがかかる、ということを肝に銘じるべきである。今回の「中国ギョーザ事件」はそれを教訓としているのではないか。