<農業問題・・・私の経営実態 二・・・>

自宅前の冬景色です

<農業問題・・・私の経営実態 二・・・>


 表2は、私の06年の稲作に関する収支です。支出の中には労働費が入っていませんので、差引の150,000円を労働費だとすると、10a当りの労働時間はおおよそ30時間ですので、総労働時間は570時間となり、時給で換算するなら263円となります。まさにワーキングプアの時給よりも、最低賃金よりも大きく下回る世界なのです。



 私は兼業農家ですから、総収入に対する稲作の比率が小さいので極端な影響はないのですが、それでも低賃金を補完する兼業収入がこの有様では話しになりません。それが、専業ですと米価が下がった分そのまま所得(収益)の減となりますから、年所得が100万円、200万円と減じるのです


 稲作専業農家の収支計算は私の例を見るまでもなく「赤字」といっていいでしょう。専業になればなるほど「赤字」の額は増えていくといわれています。規模拡大すれば採算が取れると言われていますが、実際はそうではありません。稲作での赤字を畑作とか園芸などの複合経営で補填しているというのが現状です。


 現在、政府自民等と財界は、小規模兼業農家への補助金は打ち切ろうとしています。財界やマスコミの「バラマキ補助金」というキャンペーンに圧倒されています。しかしながら、農業は環境や国土保全の機能も有しています。今盛んに言われている「地球温暖化」の回避にも寄与しています。


 また、田圃の保水機能(水田の貯水池機能)は30兆円にも及ぶという政府の試算も出ています。それは専業だから、兼業だから小規模だから、大規模だからの問題ではありません。農業を経済効率のみの産業としてのみ見るから、「バラマキ補助金」という発想が出るのであって、環境保全機能等は農家全体、地域全体でそれを守っていく必要があるのです。


また、農村という地域で見るなら、集落崩壊(限界集落・・・高齢化や人口が少なくて集落として成立が不可能な地域)や高齢化問題など「格差社会」のひずみが集中しています。経済的な安定がないのが最大の原因なのです。


 「シャッター街」などといわれている地方都市の衰退など、社会問題が益々拡大していく方向にあるのです。この経済的安定の基礎は、農業であるし米価なのです。OECD等先進国内では、農業に対する助成金のGDP対比ではその率は最低だといわれています。



 このような状況は参議院選自民党の大敗という状況を生み出しました。新自由主義が効率化、規制緩和を最大の政策課題として推し進めてきた結果、それに対する「ノー」という意思表示と私たちは受け止めます。


 しかしながら、昔はムシロ旗を掲げて闘った米価闘争が象徴的でしたが、現在に至っては農家、農民の自らの生活を守る運動が形成されているとは思えません。本来は農協等がその中心にならなければならないのですが、悲しい限りです。 「ワーキングプア」よりもひどい状況をもっともっと訴えていかなければならないと痛感している昨今です。

私の06年の稲作収支<表2>

<収入>  金額
米販売金額    1,676,000
雑収入他      545,000
 合計(A) 2,221,000


<支出>  
租税公課     382,000
種苗費      29,000
肥料費    139,000
農具費      89,000
農薬費      89,000
諸材料費   20,000
修繕費     256,000
動力光熱費 560,000
農業共済掛金 31,000
包装資材  123,000
作業委託      156,000
土地改良費     80,000
転作関連経費  67,000
雑費       50,000
   
合計(B)  2,071,000
   
差引(A)-(B) 150,000