<農業問題・・・私の経営実態 一・・・>

鷹の湯、露天風呂です

この原稿は私がある雑誌に投稿した文章です。


<農業問題・・・私の経営実態 一・・・>



 先に、「中国製餃子問題」で世間が大騒ぎしました。あれほどの騒ぎはマスコミが意図的に作り出した状況があるにしても、食にたいする「安全・安心」についての関心がこれほど高まったことはないでしょう。


折から、日本の食糧自給率が40%を割って39%となりました。この低さについても関心が高まりました。もっともっとその原因について議論して頂けたらと考えています。


 私は地元の農協に勤める兼業農家です。現在、53歳で手取り収入が可処分分で月額30万円、年間400万円です。これで、父と母含めて家族7人の生活を賄わなければなりません。幸いにして、田圃が2.4ヘクタール(その内0.5ヘクタールは減反)あり、それが副収入としてあり、そのおかげで生活はやっと成り立っています。



 秋田県の勤労者の賃金は全国ベースの80%といわれています。その足りない部分を稲作などの兼業収入が補っているのです。先日、週刊「ダイヤモンド」という経済誌に働き方の格差という特集がでていました。


それによると、秋田と東京の賃金格差は物価水準を加味しても200万円あるという調査報告が記載されていました。(ちなみに、2005年の年収はトップが東京で5757千円。最下位が秋田で3750千円


 ところが、昨年の9月、稲刈り作業の直前に、コメの販売先である農協とその上部団体である全農が米価を60キロ当り7000円にすると発表しました。稲作農家には衝撃が走りました。その反響の大きさから、秋田県の農協では3000円追加して10000円としました。それでも低いとの農家の声から実際は12000円程度を仮渡金としました。


 表1は過去15年間の米価(仮渡金)の推移です。1993年の22000円/60?と比べると現在は約半額となっています。稲作というのは、毎年かかる経費というのは平均的に見ればほぼ同じで、米価が下がっても経費が減るというわけには行きません。


 だから、下がった分だけ収益が減るということになります。つまり、1993年と比べれば所得(収益)も半分になっているということです。この原因は確かに米の消費量の低下もありますが、米の輸入自由化や生産調整の失敗など農政の失敗にあります。


 政府や財界がWTOなどの外国からの圧力に屈して生産効率の悪い農業を潰そうとする意図がみえみえと言わざるを得ません。

<表1>過去15年間の「あきたこまち」仮渡金単価(基準銘柄で抽出、なお、仮渡金単価ですので、実際の精算はこれより、1000円前後プラスされます)


1992年   20000円
1993年   22000円
1994年   20000円
1995年   18600円
1996年   18100円
1997年   16460円
1998年   16000円
1999年   15000円
2000年   14000円
2001年   14800円
2002年   14800円
2003年   19600円
2004年   13000円
2005年   12000円
2006年   11650円
2007年   11350円

<続く>