<今、職場では・・・なんで不良債権?・・・>

氷結した銚子大滝

<今、職場では・・・なんで不良債権?・・・>
 

不良債権ってナンですか・・・・。


 回収できない、返して貰えない貸付金・・・・と答える。それが普通。しかし、業界ではそんな簡単ではない。不良債権として、“レッテル”を張るには例えば、何ヶ月返済が滞れば・・・・とか、保証人がどうのこうの、担保がどうのこうの・・・様々な縛りがある。


 そして、経営上一番困るのが、その分貸倒引当金として、経費(損金)として計上しなければならないからである。その分収益が減る。赤字の原因にもなりかねない。だから、なんとかしてそれを防ごうとする。


 そのためには、いろんな手を使う。
その債権が不良債権であると確定するのは、「自己査定」というルールに基づいて決められる。しかし、「ボーダーライン上」というのが結構ある。その金額も中途半端な額ではない。


最終的に判定するのが決算監査である。とくに全国監査機構という全中の外郭団体がある。これは実質県中の監査担当者が横滑りしたようなものなのだが、通常の内部監査では監査能力が不足しているということで、その監査担当者が毎年監査する。


そこをパスすれば、OKということになるんだが、そこで「否認」されるケースが多々ある。「否認」というのは正常債権とJAでは判断したが、監査人が検査したら不良債権と判定が覆されたことを言う。その分が収益から削除されるから、それが組織的に行なわれると「粉飾決算」ということになる。


 そこで、最初に戻るが、ボーダーライン上の「債権」を不良債権としないためにイロイロな努力をする。いや、しなければならない・・・という方が正確か。具体的にはどういうことか???


 正常に返済されていれば、なんの問題もないが返済が滞れば債務者(借りた人)から貸した分を回収できるかどうかをイロイロな面から検討することになる。


 第一に担保は取っているか。取ってある担保を売却すれば回収できるかどうか。そうすれば担保の価値、評価額がどれくらいなのか、ということも問題となる。


第二に保証人に保証能力(資産等財力)があるかどうか。保証能力がなければ保証人となっても意味がない。保証人になるときは保証能力があったが、現在はないという場合もある。そして、その保証能力を証明しなければならない。前述した「監査人」に対してである。


 このような作業は決して簡単ではない。登記簿謄本とか公図、住民票、公課証明書・・・等々、昔は誰がいっても役場等で簡単に取れたが、今は個人情報の関係で他人が簡単にはとれなくなってきた。


 しかしながら、これらの立証書類を完備することによって、1千万とか2千万の引当金を損金計上しなくても済むことがあるのである。だから、これらの立証書類を「偽造」するということもあるといわれている。いわゆる「粉飾決算である」何せ、経営者は赤字の責任を取りたくはないのだから・・・


 毎年の今頃は、この業界では融資担当者は、不良債権を少なくするため涙ぐましい努力をしている不良債権になりそうな組合員を呼んだり、保証人に代弁をお願いしたり、書替えをしたり・・・・
その結果が、3月末の決算に表れる。


 しかし、この不良債権は所詮、帳簿上の問題である。退職引当金と同じで、同じくして退職することはないのと同じで、不良債権とてすべてが同じくして返済できなくなるということはない。それによってすぐに倒産するとかという状況にもならない。それなのにこんな苦労をしなければならない。


その理由はわからない。