<山の花への想い・・・コマクサ・・・>

写真は秋田駒が生えている「大焼砂」が

<山の花への想い・・・コマクサ・・・>



 コマクサって「駒草」と書く。要するに駒(馬)の顔面に花弁が似ていることからその名前が付いたようだ。

 駒草は高山植物の女王といわれる。まさにその通りだと思う。駒草はあまり混生はしない。私が駒草を最初に見たのは秋田駒であった。この秋田駒の駒草は特別天然記念物に指定され、すごい群落がある。
他の草木が一本も生えない瓦礫地に大群落をなしているのである。



 私は、最初に秋田駒に登ったのは、この駒草が見たいがためであった。当時、秋田駒のどこに咲いているか山の本で紹介しているものは少なかった。私もわからなかった。何とか、人に聞いてゆけばわかるだろう、と思った。



 もう30年も前になる。天気が悪かった事だけはわかる。確か7月の上旬で、ガスがきつかった。本には「大焼砂」に咲いていると書いてあったが、この「大焼砂」をなんと読むかわからなかったため、人に聞くにしても「ダイショウサ」といったり「ダイショウスナ」といったり・・・・正確には「おおやけすな」である。


読んで字のごとく、真っ黒に焼けた火山礫が敷き詰められたような勾配がある坂である。一歩登れば、半歩すべると誰かが、いっていた。本当に登りづらい坂である。


 ソコには通常草木一本もない。今はタカネスミレの群落が見られるが、当時、30年前はそんな花はなかった。そんな真っ黒の瓦礫地に高さ5センチ程度、緑の葉っぱ、にピンクの花弁駒草が敷き詰められたように咲いていた。


群落地にはロープが張られ、入れないようにはしてあったが、入ろうと思えば簡単に入れる状態であった。故に、群落が減少したのだろう。今は、昔の半分程度か。 


天気が悪く、風が強かった。横殴りの雨粒がほっぺたを殴り、屈みこんでも軽石のような礫が飛び交う。思わず「あっ、痛い・・・」と叫びたくなるようなシビレが頬に伝わる。小さな駒草にも容赦なく、礫は飛ぶ。


こんな悪条件の中での生存である。恐らく、火山礫の強酸性がマッチするのだろう。それと地下茎か根が相当深く張り込んでいるに違いない。ケシ科のコマクサ属する。ケシ科だからといってコマクサ属にはモルヒネの原料になる成分は含まれていない。


強風に揺られてもそして花弁には水滴が付いている。葉っぱからも水分を吸収しているのか・・・。カメラで撮るには至難の業であった。うまくはストロボはもって行かなかったので撮れなかった。しかし、感動した。メガネに雨が付いて、そして、拭いてもまた曇る。

 この駒草は、秋田駒以外に岩手山、大雪連峰でもみた。大雪の駒草は見事であったが、なんと言っても秋田駒のそれにはかなわないと思った。span>