<読書・・・「世界がキューバ医療を手本にするわけ」2・・・>

秋の風景です

<読書・・・「世界がキューバ医療を手本にするわけ」2・・・>


 続いて、キューバが、ハイテク医療の先進地であることをご存知ですか。先にも紹介したが、医療費が無料ということ、その結果、乳児の死亡率が米国よりも低くなっているという事実があります。


2005年のデーターで米国が1000人当たり7人に対し、キューバは6.2人という数字が出ている。これは、ニューヨークタイムスの記事によるところである。じゃ、具体的に何がハイテクなのか・・・。


 例えば、B型肝炎ウイルスにたいするワクチン。2006年現在、イギリス、カナダをはじめ20カ国に輸出されている。遺伝子工学の技術で開発され、キューバでも1992年以前は毎年2000人以上罹病していたのが、いまは、年間50人以下に減り、5歳以下の子供達にいたっては1999年以降全くかかっていない。

 それから、「ヘルスツーリズム」ということ。有名な例で、南米のサッカーのスーパースターであったマラドーナは引退後、薬物有毒にかかり、キューバで治療を受けた。心臓疾患や中毒のリハビリを受け、ダイエットにも成功し回復した。そして、キューバの20歳の女性と2004年に婚約している。


要するに、安くて高度な治療を受けられるからだという。彼みたいな金持ちが、アメリカを選ばないで、わざわざキューバを選んだのである。この「ヘルスツーリズム」で2002年には4000万ドルの外貨を獲得している。



 このほかにも、パーキンソン病、心臓等の移植手術、その移植を可能にした「免疫機能」のコントロール技術・・・等々。その中でも特に注目されるのが、「インターフェロン」の生産技術。


日本では糖尿病の治療に使われ、高価な治療薬であるが、遺伝子組換え技術により、大量生産できるようになるとキューバは先進国並みの生産力を持つにいたった。しかしながら、アメリカの圧力により、ヨーロッパやラテンアメリカにしか輸出できなかったという事実がある。



それは、カストロ「教育と科学にこそ、キューバの未来はある。わが祖国の将来は、それでなければならない」という言葉、戦略が功を奏したものだ。現実には、前述したスペシャルピリオド』のときも毎年GNPの1.5%を科学研究のため投資してきたという。



自国民が食うものも食わずにいるとき、このような投資は賭け以外の何者でもなかったはず。その先見性の正しさが、現在のキューバを物語っているといわなければならない。この戦略が、後で紹介するラテンアメリカカリブ海地域で視覚障害者450万人にたいする「奇跡の手術」のきっかけとなる。



現在「貧しい開発途上国でありながら、1000人あたりの科学者は1.8人とEUのそれに匹敵する。バイテク分野では、500もの特許を持つが、うち、26は米国のものだ。ラテンアメリカの医薬品輸出大国として、その顧客リストには先進国を含む50カ国以上が並ぶ。


加えて、イラン、中国、インド、アルジェリア、ブラジル、マレーシア等の開発途上国と技術提携をし、各国のバイテク産業の立ち上げを支援している。」とこの本には紹介されている。
<つづく>