<読書・・・「世界がキューバ医療を手本にするわけ」1・・・>

今年の稲です

今回から、3回にわたって最近読んで感動した本の紹介をします。

<読書・・・「世界がキューバ医療を手本にするわけ」1・・・>
 

私が読んだ本は、吉田太郎著「世界がキューバ医療を手本にするわけ」(築地書館)である

 マイケルムーアの最新の映画(まだ見てはいないのだが)でキューバの医療を絶賛していたと聞いていたキューバそのものは社会主義国だし、教育と医療はすべて無料だということは知っていた。


 前に、ベネズエラチャペス大統領についての本をこのブログで取り上げたことがあるが、その時からも、いやそのずっと以前から、キューバについて書かれている本を探してはいたのだがなかなか見つからなかったという経緯がある。 読後感は予想どおりというか、一気に読んでしまった。その感想を紹介したい。


 社会主義国社会医学、いわゆる予防医学が主であることは、学生時代に社会主義関係の本を読んだときに聞いてはいた。資本主義では医療も商品となり、それが売買されている。資本主義を社会主義との差が一番明らかになるのは医療・・・国民の健康政策・・・だということも聞いていた。



 社会主義では予防医学が中心であるし、資本主義では臨床医学が中心になるということも聞いていた。以下でこそ、日本においても医療費の削減のため、予防医学が陽の目を見てきたが、それでも十分とは行かない。


 キューバの社会医療は、徹底した地域予防医療にある。その中核となるのが、ファミリードクター制度である。そのファミリードクター制度は1985年のソ連崩壊によるキューバの経済危機(これをスペシャル・ピリオド」という)にも絶えて存続してきた。



 このファミリードクター制度というのは、120世帯、700〜800人に一人医師が当てられていて、その医師が基本的にその地区(コミュニテェ)の医療に責任を持つ、ということである。当然ながら、一人の医師で内科から婦人科、外科まですべてを診ることは出来ない。


 それをフォローするためのシステムがコミュニティの上部機関に存在している。日本とか資本主義国のように開業医とか総合病院とか、緊急医療機関とかアンバランスな配置はない。それは、「人の健康は9割は環境で決まる」というコンセプトがはっきりしているからである


 故に、そのファミリードクター制度での医師は医療面だけではなく、環境や医療政策にも精通しているし、権限もある。キューバでは大学を卒業して、医師になるとます、一般医師という資格を持つ。


 それから、ファミリードクター制度の下で最低2年間研鑽を積んで、「基礎総合医療医師」の資格を得て、それから、博士などとなっていくとのことである。但し、医療費はゼロ。しかし、日本みたいに医師の収入というのは決して高いものではない。


 社会主義国だから、普通の公務員程度といわれている。それに、教育費は無料だから、馬鹿げた大学入学金なども皆無であるから、それだけ「投資」という側面はないからでもある。


 そしてこのファミリードクター制度は、キューバを手本に世界で50カ国ほどで取り組まれており、住民参加型の予防医療が、世界保健機関からも絶賛されている。
<続く>