<労組活動・・・あれから3年、「勝訴」は何を意味したか2・・・>

秋田駒の山頂にもヤマハハコです

<労組活動・・・あれから3年、「勝訴」は何を意味したか2・・・>

 しかし、彼らは一切謝罪しなかった。その後の団体交渉でも、「謝罪しろ」に対し、「謝罪する必要はない。判決が間違っている」
「だったら、上告すればよかったじゃないか・・・
「理事会がしなかった・・・」
「だったらそれをみとめたんじゃないか・・・>」「謝罪はしない、それより過去のことは水に流して前向きに話し合おう・・・」
 W常務は、自分の考えを撤回しようとはしなかった。こんな水掛論争とまでもいかない議論が団体交渉で何回も続いた。裁判で負けたら、そして、それを認めたら謝罪するのが社会的な常識というものだ。「金を払えばいいんだろ」という態度は農協の社会的責任を全く感じていない言葉なのである



「農協の常識は、社会の非常識・・・」と何回も支部ニュースには書いた。W常務が退職した後のH常務(私と同じ町出身の職員上がり、裁判時は「総務部長」、姓は同じだが、縁戚関係は全くない)もそれを翻さない。同じ穴のムジナとはこのことか・・・。


 そういう経過のなかで、「賠償金」の120万円は判決確定後1週間足らずで、私の口座に振り込まれた。判決の金額より多少多くなった。それは、降格され、減額せれた分の手当てが係争途中で増額されていたからである。


ほとんどが、農協労本部と全農協労連の「救済」に返済され、支部に20万ほどカンパし、自分に戻ってきたのも約20万、これが多いか少ないかは、読者の判断に任せたい。


 農協側も話によるとこの裁判(一審と二審で)に200万くらいかかったようだ。こんなに農協に損害を与えておいて、彼らには何ら「処分」はない不法行為が裁判で確定して農協の社会的信用を失墜させた責任はどうなるのだろう。それは、未だに問われていない。



 勝訴した瞬間、それは農協労にとっても、その上部団体である全農協労連にとっても歴史的な出来事であった。「違法な残業を強いることになる共済推進は民法第20条公序良俗に違反する」という内容は、これまで、農協という業界で、経営者側と争ってきた、「時間外の共済推進」が「業務」であるか否かについての法的法的判断を下したものだったからである。



 この裁判は私と私の所属する農協労支部、そして農協労本部、その上部団体である全農協労連の総力を挙げたものだった。その闘争体制は決して一枚岩ではなかった。職場の闘争体制に重点を置くか、裁判闘争そのものに重点を置くか、家族ぐるみの闘いをどうするか、県内、いや全国レベルの支援体制をどうつくるか、闘争資金をどのように準備するか・・・などなど激しい意見のやり取りが何回もあった。


 それにしても、献身的であったのは、控訴審でのN弁護士とY弁護士、そして、一審で弁護を引き受けてくださり、裁判途中で癌のため他界されたF弁護士。F弁護士は県の「労弁」の重鎮。20年近く農協労の顧問弁護士として酒をこよなく愛し、「酒と命のどちらを選ぶか」と飲み会での話にも、躊躇泣く「酒」と答えられていた。そしてそのとおりになってしまった。


 N弁護士は、当時から派遣労働など全国的にも著名な弁護士でY弁護士にして「彼女は弁護士仲間でも有能な弁護士」と言わしめた。彼女は控訴審からの付き合いであるが、小太りした、そしていつも黒色をベースにした飾り毛のないファッション、そのパワーといったら圧倒されるの一言。


Y弁護士も「私は彼女を女としては認めない」と酒の席ではいつも評していた。実はこれから遡ること約20年。私は彼女と一度酒席を共にしたことがあった。全農協労連の顧問弁護士をしていたので講演会を持ったことがあった。その終了後の懇親会。


地元名物「八目うなぎのカヤキ」をほうばった。この「八目うなぎのカヤキ」、ミソと豆腐とネギを入れた鍋にヤツメウナギをぶつ切りにして、血の滴り落ちる八目を鍋にドボ〜ン。地元の人間でも通常は嫌がって食わない。なんとそれをはじめてなのに、「おいしい」「おいしい」と食っている。


これには、皆びっくり。八目鍋はうまい。だが、血が鍋に滴り落ちるところをみて食うなんて「並みの女」ではない。Y弁護士の「女を感じさせない」というのは半ば当たっている。


 彼女の講演は何回か聞いたが、最初から最後まで話すペースは同じ。女の早口とおしゃべりにパワーと論理を付け加えたしゃべり口にはあきさせない。そして、説得力がある、惜しくはそこにユーモアがあれば・・・とは贅沢な要望か。<つづく>