<読書・・・反米大統領「チャペス」・・・>

<読書・・・反米大統領チャペス」・・・> 


先だって、ベネズエラで大統領選があった。反米の大統領と言うことで私も関心を持って見守っていた。


私は昔からのキューバカストロのファンであることから、カストロとの親交の厚いチャペスに興味を持っていたし、国連でブッシュ米大統領を「悪魔」呼ばわりしたパフォーマンスは姿勢には拍手を送った。


 ところが、先だって、テレビ朝日ニュースステーションで、ベネズエラの大統領選で当選したチャペス古館伊知郎が「独裁者」と罵った。これにはカチッときた。電話で抗議しようかと思った。


民主的な選挙で60%もの支持を集め当選をして、石油で得た富を貧困層の救済に充てている、民衆の立場にたった大統領を「独裁者」だとは・・・。もしそうだとしたら、大義名分もないイラクに攻め入ったブッシュはそれを上回るヒットラー級の独裁者か・・・。
 

そんなこともあって、以前から読みたいと思っていた本を入手し、一気に読んだ。高文研発行、本間圭一著の「反米大統領チャペス〜評伝と政治思想〜」である。


余談になるが、この高文研とは学生時代の30年前いろいろと思い出、かかわりがあって・・・それを話したらきりがないので・・・いづれまとまったときにアップはしたいと思っているが・・・

これは、ある程度の国際情勢に関心が無いと難しい本だと思ったが、著者が新聞記者ということもあり、結構わかりやすかった。要するに「新自由主義」とか、南米の歴史と現状、特に左派政権が誕生した背景、そして今だから日本も格差社会と言われるが、南米ではもう十年二十年前から格差社会であったこと。


そして、階級があからさまに形成されてきたこと、搾取と収奪という資本主義の根本悪が実際にあからさまに行なわれてきたことなどが理解できないと読めないかなあ、と思っていた。


今の国際情勢の中でチャペスは時の人である。誰もが注目している。ところが、彼はブッシュを始めとした資本家階級には天敵である。


要するに金持ち層(いわゆるブルジョワ階級)の搾取や収奪の権益を奪って、奪うと言うより土地や天然資源は個人のものではなくてその地域や国先住民のの物だという「資源ナショナリズム」と言う考えを民主主義という手法で忠実に実行していったことに尽きる


ところが、自らの権益を奪われる資本家にとってはそれが気に食わない。そこに「階級対立」をいう闘争がうまれる。それは日本でもそうだし、どこの世界でも資本主義体制ならば同じことである。


要するに、資本家の立場に立つか、民衆=労働者の立場に立つかであるチャペスは民衆の立場に立ったから、それが、階級闘争として現れたに過ぎない。


民主主義とは、「多数者による少数者の支配である」これを理解しないといけない。「少数者=マイノリテー」がいつまでもマイノリテーでいると言う時代は終わってきた。


格差社会と言うのは、中産階級が没落して、下層階級に転落していくことを意味している。そうすれば、下層階級は増える中で人数的には彼らが「多数派」になることは必然である。


ベネズエラで、そして、南米でそれが日本より若干早く始まっているだけのことである。この本は、単なるチャペスというカリスマ的「英雄」の評伝としてみるのではなく、チャペスのような人物が輩出してくれば、どこでもベネズエラのような、民衆の代表者が権力を握ることができる、という世界情勢を感じ取る必要があると思う。