<今、職場では・・・肥料の注文・・・>
<今、職場では・・・肥料の注文・・・>
「Mさん、肥料の予約注文書提出したかよ・・・・まだ、出していないなら早く出してよ・・・」
窓口の担当が、予約書の未提出者リストをみながら、Mさんにお願いした。
「オレは、出さないよ。出さないからって、農協から買わないと言うことじゃない。ちゃんと買うから、心配しなさんな!」
「予約すれば、7%も安くなるんだ。予約する方が絶対得なんだから・・・」
こんなやり取りがしばらく続いた。Mさんはずっと農協全量利用を通している。若い担当はこのことを知らない。そして、Mさんが何故予約しないのかもわからない。
Mさんは75歳。田圃は3ha、メロンも50アールもやっている。息子は会社員で近くの町部のアパートに夫婦と子供二人で住んでいる。息子夫婦といずれ一緒に住むことを願いながらこの老齢に鞭打って毎日の農作業は欠かさない。
「オレはなあ・・・。この倉庫からオレの田圃や畑に必要な時期に必要なだけ運ぶんだ、この方がずっと合理的なんだ・・・」若い担当は、言っていることの意味がわからない。
予約すれば、12月か1月頃にMさんの倉庫に肥料が運ばれる。耕作面積が多いだけに倉庫からそれを2トン車に積みこむ量も多い。その積み込み作業が、この年ではきつい。
だから、農協の倉庫から畑に散布するだけフォークリフトで積んで直行すれば、重労働が省略できる。また、自分の倉庫に置けば、ねずみ対策も必要がない。狭い倉庫の片付け、整理も必要がない。
年を取ったMさんの知恵である。7%引きより、こっちのほうが手っ取り早いという判断である。
農家の高齢化が進んでいる。省力作業が今まで以上に求められている状況がある。農協はこんな状況にどう対応するか、どのような手助けができるかが試されている