<今、職場では・・・監査講評Ⅱ・・・>

二の滝のてっぺんから見下ろす

<今、職場では・・・監査講評Ⅱ・・・>


 私への「事情聴取」は常務が来ていろいろ聞いていったがびっくりした。実際何もわかっていない。実務をこれほどわかっていないとは思わなかった。彼は、学識理事で「信用専任」ではあるが、その「信用専任」というのは、行政への建前だけであって、常勤の役員なのだからすべてを統括するのが通常である。


彼は職員時代もほぼ金融や管理畑が中心で、経済部門や営農部門にはほとんど携わってはいない。だから、購買の実務に疎いということも無理からぬ話ではある。しかし、それですまないのが「常務理事」という肩書き。

 専門的になるが、購買に携わった人なら、「売価変更」という作業をご存知だろう。肥料、農薬をはじめ年に数回「売価変更」の作業をやるが、当JAはその変更を帳簿上の数量(電算上のあるべき棚卸数量)を基準にそれをやっていた。

ところが、それではダメだと昨年の監査でも指摘されていたらしい。実際の棚卸の数量でやりなさい、ということであったらしい。それを改善していなかった・・・ということだ。


その直接の責任は、そのような指示をしなかった経営者にあるのだが、それをやればどうなるか・・・・。役員や幹部職員たちは全然わかっていなかった。


 実際の数量で売価変更をやるということは、その売価変更のたびに(とはいっても、肥料、農薬といった分類ごとに年に1〜2回ではあるが)棚卸をするということである。その手間隙は簡単なものではない。


それも、月末とか関係なく、定められた日(基準日)にしなければならないから、残業が多発する。9時10時は覚悟しなければならない。それも一日や二日程度ではない。


 そして集計したものを、電算登録して、売価変更の決済を得て、電算入力となる。今までの作業量の5〜6倍になるといっても過言ではない。それが、現場ではわかっていたから、できなかった・・・・といっても差し支えない。
 要するに、現場がわからないということである。これは、本来経営者としては、致命的なのであるが・・・。

 この「事情聴取」が丸二日行なわれた。現場職員にとっては仕事にならない。仕事の流れを手取り足取り説明しなければならない。新卒職員に説明するように・・・。


「基本がなっていない」をいう指摘は、「経営者としての基本がなっていない」と同義語になってしまった。職員に向けられたというこの言葉が現実には経営者に自らの経営姿勢の基本がなっていない、ということを暴露してしまった。ひどい皮肉である。これで、経営者の姿勢が変われば、と思っているのはわたしだけであろうか・・・。


 そんなこともあって、上司の課長が「ノイローゼ」気味になった。これホント。いわゆる『ヨイショ』の課長であるが、「うつ」と言われてもしょうがない状況である。


それを見て、「次長」が我々部下を集めて、「課長が変だからアンタがたがしっかりして助けてやって・・・・」ときた。さすがの私も頭にきた。「課長が変になったら助けてやるのは上司のあなたじゃないか。あなた方が課長に仕事を投げっぱなしだから、こうなるんじゃないか」怒鳴り返した。しばらくぶりで興奮した。
 次長は何も言わなかった・・・・・。<終わり>