<紅葉狩りⅢ・・・>

鮮やかな黄色が・・・

紅葉狩りⅢ・・・>

 そうこう思っている間に、マイクロバスは「幸兵エ衛の滝」に向かう。ちょうど11時。昼食は「幸兵エ衛の滝」の入り口の駐車場でとることにする。すると、曇天の空から、雨粒がパラパラ・・・開いたシートを急いで畳んでマイクロバスへ。


誰が雨男か女か・・・と車内ではせめぎ会い。10分ほどで雨は止む。そしたら急に晴天・・・「山って大体こんなもんだ・・・」と誰かが言った。「雨だからもう帰ろうよ、って言ったのは誰だ・・・」との声も。いづれにしても自家製の弁当を広げ、みんなでおすそ分けごっこ・・・人気のない「ガッコ」は何回も回ってくる。


 私は、ビールを持参した。正式に言えば「発泡酒」だが、このときのために、昨夜冷凍庫に入れて凍らせて・・・昼食時にちょうど解けて、冷たくて・・・何よりもこの冷たさと喉越しが最高なのだ。

 しかし、この昼食時に解凍して、ちょうどいい状態に(冷たさに)なっているとは限らない。案の定、まだ氷の状態・・・。口を開いても出てくるのは泡ばっかり・・・うまくもなんともない。「失敗だ」思わず唸った。真夏ならいざ知らす、今の時期は解凍できない。冷凍時間を長くしすぎた・・・。



 不満足な昼食をあとに、「幸兵エ衛の滝」に向かう。私はここにはすでに5〜6回来ているので今回は皆とは違う目的があった。


 「幸兵エ衛の滝」までは道のりにして約2キロ。一時間あれば着く。最初の15分くらいで「一の滝」それから20分くらいで「二の滝」そして、急坂を上りきって「幸兵エ衛の滝」となる。


 「幸兵エ衛の滝」は展望台からは滝壺が見えない。落差が大きく滝の長さも長いので、滝全体の三分の二程度しか望めない。私の目的は、滝壺から「幸兵エ衛の滝」をみることであった。


 これらの滝が連なる「立又渓谷」は平成3年の19号台風でブナの立ち木がもろに倒れ、それにより登山道も寸断され、自然の驚異に感嘆したことがあった。今はそれが復旧され、それによって当時の登山道も若干変更されていた。


 今は、そのときの「風倒木」を逆に利用し、つり橋を作ったり、丸太橋、腰掛をつくり当時よりも歩きやすくなっている。


 最初の「一の滝」は水量も多く、紅葉の林の中から響いてくる滝音が、静寂な深山の主かのように響いてくる。そこも絶好のシャッターポイント。すでに二人のカメラマンが三脚でどっしりと構えていた。これに、お日様がさすと、いい写真が取れる・・・こういうときに限ってお日様は出てこない。カメラマンは「忍耐」である、と着くづく思う。


 登山道は「一の滝」を外周するように続いている。上りながら見下ろすこともできる。カメラアングルとしてもいいポイントである。そうこうしながら、第一の急坂にかかる。「ハイキングのつもりできたんだが・・・」「ここも長靴の勝ちかヨ〜」と言う声が飛ぶ。


 昼食直後の登山だから、腹が重く、足が動かないのであろう。平均年齢60を超える年では楽ではないことは確かである。しかしながら、その分紅葉がすばらしい。「枯葉散る夕暮れは・・・・」と誰かが五輪真弓の「恋人よ」のメロディーを口ずさんだ。「おいおい、じいさんとの昔のことを思い出しているのかよ!」と冷やかしが入る。皆、大笑い。


上がり下がりを数回繰り返して、ようやく、「二の滝」に到着。ここで、私の目的が実行された。
                                 <つづく>